多発性筋炎の間質性肺病変に関する臨床的並びに免疫学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
多発性筋炎や皮膚筋炎(PM-DM)における問質性肺病変は,近年注目されてきたが,その病態はほとんど不明である.そこで本症の間質性肺病変の病態を臨床的ならびに免疫学的に解析した.なお,肺の間質性肺病変は厚生省肺線維症研究班・診断の手引きを用いて抽出した. 1)間質性肺病変は29例中15例(52%)にみられ, overlap群を除いた24例については11例(46%)に認められた. 2)間質性肺病変はその出現様式で2群に分けることが出来た,すなわち,肺病変が筋炎とほぼ同時期に発症したもの(5例),遅れて発症したもの(5例)および不明1例であつた.前者ではステロイド療法で肺病変が改善したものは, 4例中3例であつたのに対し,後者では改善例が1例もみられなかつた. 3)肺病変有り群は無し群に比べ, %VCおよびDLco値は低下していたが,肺病変無し群でも半数例以上は異常値を示した. 4)肺病変を有するPM-DMは,関節症状,心症状などの出現頻度が高く,多臓器障害性の性格がみられた.しかし,間質性肺病変と筋炎の程度との間には,相関は得られなかつた. 5)抗核抗体を家兎胸腺抽出物を抗原とし,二重拡散法で検索したところ, Tk抗体(Jo-1抗体)が肺病変群の36%に検出され,無し群では全くみられなかつた.したがつて,本症における間質性肺病変の発症に免疫学的機序の関与が推測された.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
-
近藤 啓文
北里大学医学部膠原病内科
-
柏崎 禎夫
北里大学医学部・内科学
-
古明地 智
北里大学医学部・内科学
-
吉井 昭夫
内科学
-
近藤 啓文
北里大学医学部内科学教室
-
吉井 昭夫
北里大学医学部内科
-
北村 磨知子
北里大学医学部内科
-
近藤 啓文
北里大学医学部内科
関連論文
- 皮膚科・内科合同カンファランスの運営
- 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(1999-2000年度合同研究班報告)肺高血圧症治療ガイドライン
- ダイジェスト版 肺高血圧症治療ガイドライン(循環器病の診断と治療に関するガイドライン(1999-2000年度合同研究班報告))
- 肺高血圧症治療ガイドライン(循環器病の診断と治療に関するガイドライン(1999-2000年度合同研究班報告))
- ループス腎症と沈降性DNA抗体
- 非ステロイド性抗炎症薬UHAC62カプセルの慢性関節リウマチに対する用量反応性の検討(後期第II相試験)
- 全身性強皮症患者の評価法
- 232 食物アレルギーによる麻痺性イレウスを繰り返した一例(食物アレルギー6,一般演題,第21回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 強皮症 (リウマチ・膠原病のすべて) -- (リウマチ・膠原病のいろいろ)
- 183 15-LOX遺伝子導入細胞移植LXA4合成誘導による間質性肺炎病変抑制効果の検討(Chemical mediators,シグナル伝達1,一般演題(デジタルポスター),第57回日本アレルギー学会秋季学術大会)