腎性高血圧
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概要
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腎性高血圧の成因と,その取り扱いを中心に,最近の知見を加えて解説した.腎性高血圧は,高血圧の成因論のなかで最も重要な部分を占め,すべての高血圧は,腎と直接あるいは間接のかかわりをもつといつてもよい.従来最も関心の払われてきたrenin-angiotensin系についても,これが直接血管を収縮させる作用のほかに,生体の水電解質代謝とふかいかかわりをもつこと,自律神経系とも密接な機能的関連をもつて血圧の調節に関与していることが明らかにされてきた.最近,その作用をblockするangiotensin II ana〓ogue, angiotensin Iをangiotensin IIにするconverting enzyme inhibitor (SQ 20881)が合成され,それらの臨床知見が報告されている. β受容体遮断剤が高血圧治療に導入されてから10年以上の年月が経過したが,その作用機序もrenin分泌に及ぼす影響と交感神経機能との関連を中心に解析がすすめられてきた,腎の降圧物質については, prostaglandinsについての研究が多いが,高血圧の成因における役割については未だ未解決の点が多い. reninにかんしてはその前駆体(prorenin),腎以外に由来するrenin (isorenin)が話題になつているので,これらについても簡単に解説した.腎不全時の高血圧の病態については,透析療法の普及によつて明らかにされた点が多いが,体液量の増加が成因に関与している場合が多い.以上の点にかんして,臨床の問題を中心に述べたが,腎性高血圧の成因は症例によつて必ずしも単一ではないことを強調したい.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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