救命し得た多臓器不全合併劇症型アルコール性肝炎の1例
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概要
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常習飲酒者が大量飲酒を契機に急性肝不全に陥り多臓器不全(Multiple organ failure, MOF)を呈した,いわゆるSherlockのacute hepatic failure on chronic liver disease(acute on chronic)と思われる1生存例を経験したので報告する.症例は25年間の飲酒歴を有する60歳男性で主訴は発熱,腹痛,黄疸である.入院時すでにクモ状血管腫,肝脾腫を,入院後にはIII度の肝性昏睡,腹水,皮膚出血斑を認め,さらにDIC,腎不全,消化管出血,心不全などの多臓器不全を呈した.血漿交換療法,prednisolone投与,glucagon-insuline療法,gabexate mesilate投与などにより治療したところ救命し得た.回復期の腹腔鏡下肝生検はアルコール性肝炎の像であった.このようにMOFを呈した劇症型アルコール性肝炎の生存例は非常に稀であり,救命には本症例のように積極的に集中した治療を行うことが大切であると思われた.
著者
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福井 実
旭川厚生病院内科
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並木 正義
旭川医科大学第3内科
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杉村 巌
旭川厚生病院
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都丸 久
旭川厚生病院消化器科
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成沢 恒男
旭川厚生病院内科
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関谷 千尋
旭川医科大学
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並木 正義
旭川医科大学
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黒沢 光俊
旭川厚生病院内科
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古河 知行
旭川厚生病院内科
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佐藤 仁志
旭川厚生病院内科
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都丸 久
旭川厚生病院内科
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