メルカゾールにより惹起されたLE現象陽性肝障害の一例
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概要
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メルカゾールによると思われる肝内胆汁うっ滞症の1例を経験した.患者は,38歳の女性で甲状腺機能亢進症の治療のため,メルカゾール30mg/日より投与を開始した.投与15日目にAl-P, LAP, γ-GTPの上昇を認め,20日目には,Al-P 44K.A.U., LAP 392G.R.U., γ-GTP 216mUと著明に上昇した.投与25日目に黄疸が出現.投与50日目には,T-Bilが,37mg/dlまで上昇した.しかし,transaminaseは,全経過を通じてほぼ正常範囲にとどまっていた.肝生検組織像でも,小葉中心性胆汁うっ滞が認められ,肝実質の変化および門脈域の細胞浸潤は軽度であった.また,投与20日目にLE現象が,27日目に抗核抗体が陽性化し,メルカゾールにより自己免疫現象が誘発されたものと考えられた.さらに本症例では,チウラジールの投与で肝障害が悪化し,メルカゾール,チウラジールの両者にリンパ球幼若化現象が陽性化したことは,薬剤交叉性反応の問題からチオアミド基の存在が注目された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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高瀬 幸次郎
三重大学第一内科
-
小林 道生
医療法人永井病院
-
東山 領
三重大学第一内科
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小林 道生
三重大学第1内科学教室
-
中桐 俊次
三重大学第1内科学教室
-
伊藤 敏秋
三重大学第1内科学教室
-
萩原 正芳
三重大学第1内科学教室
-
為田 靱彦
三重大学第1内科学教室
-
小坂 義種
三重大学第1内科学教室
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高瀬 幸次郎
三重大学第1内科学教室
-
為田 靱彦
三重大学第1内科
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小坂 義種
三重大学第1内科
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東山 領
三重大学第1内科学教室
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高瀬 幸次郎
三重大学第1内科
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小林 道生
三重大学第1内科
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萩原 正芳
三重大学第1内科
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