肝細胞癌を内包したAdenomatous hyperplasiaを合併した若年大酒家F型肝硬変の一剖検例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
HCV抗体(第二世代),HCV-RNA陰性で日本酒一日6合・10年間の飲酒歴を有する若年大酒家のF型肝硬変の経過中にAdenomatous hyperplasiaを認め,脳出血で死亡し,剖検で肝細胞癌が発見された1例を経験した.患者は31歳男性.胆石の術前検査で肝機能異常を指摘された.その後の血液学検査,各種画像診断,腹腔鏡および肝生検検査にてHCV抗体陰性のF型肝硬変と診断された.この際,腹部超音波検査,腹部CT検査で肝に腫瘤性病変の存在が認められた為,狙撃生検が施行されたが,悪性所見はみられなかった.その半年後に再度肝腫瘤に対して狙撃生検が施行されるも,Adenomatous hyperplasiaの所見であった.3ヵ月後脳出血で死亡したが,剖検所見で肝左葉に4個の境界明瞭な腫瘤性病変が認められ,そのうち1個の腫瘤がEdmondson-II型の肝細胞癌を内包していた.Adenomatous hyperplasiaと肝細胞癌の関連を示唆する興味ある症例と考えられた.
著者
-
小坂 義種
三重大学臨床検査医学
-
為田 靱彦
三重大学臨床検査医学
-
高瀬 幸次郎
三重大学第1内科
-
小笠原 誠
三重大学第1内科
-
青沼 宏深
三重大学第1内科
-
宮崎 光一
三重大学第1内科
-
山田 昌信
三重大学第1内科
-
藤岡 博道
三重大学第1内科
-
中野 越
三重大学第1内科
関連論文
- 下大静脈欠損・奇静脈結合に合併した広汎型肺血栓塞栓症の1例
- I-A-12 癌患者における末梢血単核球の IL-1β, IL-6 および GM-CSF 産生能に及ぼす小柴胡湯の影響
- 66) 肺塞栓症を合併した右心房粘液腫の1例
- IFN治療著効後, 経過中に肝細胞癌を合併したC型慢性肝炎の1例
- Inhibitor of Apoptosis Familyによる細胞死制御
- 小柴長湯により肝および腎障害を来した慢性C型肝炎の1例
- メルカゾールにより惹起されたLE現象陽性肝障害の一例
- ICG, BSP試験が高度の異常を示した色素排泄異常症の2例
- 肝細胞癌を内包したAdenomatous hyperplasiaを合併した若年大酒家F型肝硬変の一剖検例
- A case of acute hepatitis A associated with pure red cell aplasia.
- Diagnostic prospect of drug induced liver injury and NANB hepatitis using multivariate analysis.
- :With Special Reference to ultrastructural Findings of the Liver
- A case of drug induced hepatitis due to warfarin potassium.
- A male case of asymptomatic primary bilary cirrhosis showed rapid deterioration of histological finding of the liver.
- Effects of transcatheter arterial embolization on hepatocellular carcinoma. Analysis by multivariate logistic model and Cox's proportional hazard model.:Analysis by multivariate logistic model and Cox's proportional hazard model