総合診療部実習で保健学科検査技術科学専攻の学生は何を感じ取ったのか?
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
【背景と目的】群馬大学保健学科検査技術科学専攻4年次学生が総合診療部実習で何を感じ取ったのかを, 2000年度学生と2001年度学生を比較しながら, 論述式の実習レポートから質的手法を用いて分析した.【対象と方法】2000年度学生38名, 2001年度学生38名が対象である.学生1名に外来初診患者1例を割当て, 総合診療部医師による問診と診察を見学させた.「初診患者の今後の検査計画」, 「今後の医療に対して検査技師が貢献すべき点」, 「将来に向けての抱負・夢」の3つの課題について学生が論述した実習レポート76名分を総合診療部の教員3名が独立して分析後, 結果を統合して学生の意識を評価した.【結果】「検査計画」の総合得点は両年度間で差がなかったが, 2001年度の女子は男子を+0.9点上回った(p<0.05).「今後の医療に検査技師が貢献すべき点」として, 2000年度学生は (1) 患者との接点を増やす(61%), (2) 検査室内に留るのでなく, 他部署へも出向く(47%), (3) チーム医療の一員として働く(42%), (4) 付加価値のあるデータを提供する(37%), (5) 検査データを迅速かつ正確に報告する(34%)を多く取り上げ, 2001年度学生は (1) 患者との接点を増やす(71%), (2) 検体採取, 患者に対する検査の説明と相談を行う(66%), (3) 検査室内に留るのでなく, 他部署へも出向く(50%), (4) チーム医療の一員として働く(24%), (5) 付加価値のあるデータを提供する (18%)を多く取り上げた.「将来の夢」として, 2000年度学生の92%, 2001年度学生の84%が「検査技師になること」と回答した.なかでも2000年度には, 男子の60%が大学院進学や研究室勤務を, 女子の76%が病院勤務を希望した.【結語】総合診療部実習に参加して, 学生は「患者との接点」, 「業務範囲の拡大」, 「チーム医療」がこれからの検査技師にとって重要であると感じ取っており, コミュニケーション・スキルを習得するうえでも総合診療部実習は極めて効果的である.
著者
-
坂本 浩之助
群馬大学医学部第2内科教室
-
伊谷 寧崇
群馬大学医学部統合和漢診療学講座
-
神田 享勉
金沢医科大学 総合診療科
-
田村 遵一
群馬大学医学部第三内科
-
星野 綾美
群馬大学医学部附属病院総合診療部
-
澤田 芳枝
群馬大学医学部附属病院医療情報部
-
櫻谷 昌孝
群馬大学医学部第三内科
-
佐藤 正通
群馬大学医学部附属病院総合診療部
-
倉茂 達徳
群馬大学医学部
-
藤田 欣一
群馬大学医学部総合診療部
-
澤田 芳枝
群馬大学医学部第二内科
-
櫻谷 昌孝
群馬大学医学部附属病院総合診療部
-
神田 享勉
金沢医科大学附属病院総合診療科
-
伊谷 寧崇
群馬大学医学部附属病院総合診療部
関連論文
- 群馬大学医学部附属病院における女性専用外来の現状と課題
- 鈍的外傷性緊張性心嚢気腫の1例
- 高齢銅欠乏患者に対する銅補充による血清脂質への影響
- がん患者と非がん初診患者の倦怠感の比較 : 多次元倦怠感尺度を用いて
- 他病院の受診歴があるがん患者の大学病院を受診した動機の分析
- Stage III, IV大腸癌治癒切除症例に対するPSKによる補助免疫化学療法 : 免疫パラメーターの変動を中心に
- 0712 長期NO合成阻害ラットの冠動脈におけるVEGFの発現は血管内皮機能障害の代償機構である
- 1065 転写因子BTEB2は冠動脈再狭窄およびde novo病変にて血管平滑筋細胞の脱分化を誘導する
- 1058 転写因子Egr-1とEts-1は平滑筋形質変換誘導因子BTEB2遺伝子を活性化する
- 0732 ホメオ蛋白HEXは血管平滑筋細胞の形質変換を誘導する