白血球付着阻止試験と肝細胞癌診断

概要

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Leucocyte adherence inhibition (LAI)テストが,肝細胞癌の診断および癌の経過を判定する免疫学的なパラメーターとして有用であるか否かについて検討した.基礎実験として,抗原にPPDを用いることにより,LAI現象には細胞性免疫学的な機序が関与していることを示した.次に肝細胞癌,肝硬変,他の消化器癌を対象として,肝細胞癌抽出抗原を用いてLAIテストを行なった.Nonadherence indexはそれぞれ37%,11%,-2.3%であった.経過を半年間追跡し得た症例で,リンパ球PHA刺激応答能とLAIテストはよく相関し,細胞性免疫の低下とともに陰性化した.以上のことからLAIテストは肝細胞癌の診断に有用であり,特異性においてすぐれていることが示された.それとともに,終末期に陰性化することがあり,免疫学的なパラメーターとなりうることが例証された.なお,α-fetoproteinを抗原としてLAIテストを行なったが,陰性に終ったことから,α-fetoproteinはLAI現象をおこす物質ではないと考えられた.
社団法人日本肝臓学会の論文