飼料中フイチン酸ナトリウムが<I>in vityo</I>でのミネラルの溶解性に及ぼす影響
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概要
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すでに行った<I>in vivo</I>実験に用いたラット用飼料を使って, 多種類のミネラルを含み, かつ食物繊維など他のさまざまな成分が共存するような通常の飼料条件下で, 飼料フィチン酸が各種pH (pH1〜12) におけるリン, カルシウム, マグネシウムおよび亜鉛の溶解性に及ぼす影響について検討した。<BR>供試飼料としては, フィチン酸ナトリウム無添加のもの (以下, 無添加飼料) および1%添加のもの (以下, 1%添加飼料) を用いた。両飼料は, pH 1〜12の各種緩衝液で抽出後, 10,000×gで30分間遠心分離して上清 (以下, 可溶性画分) と沈澱残渣 (以下, 不溶性画分) を得た。また, 以下緩衝液のpHの後には, 抽出後の可溶性画分の実測pHを ( ) で示した。<BR>リン, カルシウム, マグネシウムおよび亜鉛は, おのおの, 各pHにおける可溶性画分および不溶性画分の含量から次のように不溶性比率を求めた。<BR>各ミネラルの不溶性比率 (%) = [不溶性画分の含量/ (可溶性画分+不溶性画分) の含量] ×100リンの不溶性比率はpH 1〜12 (1.0〜10.0) のすべての範囲において, 無添加飼料よりも1%添加飼料で高くなった。pH 4 (4.1) 以上でリンの不溶性比率が低下した原因としては, カゼインの溶解により, カゼイン由来のリンが可溶性画分に増加したためと考えられた。<BR>カルシウムの急激な不溶化が, 無添加飼料および1%添加飼料ともにpH 5 (5.3) 以上でおこり, pH 7 (6.9) 以上では85%以上のカルシウムが不溶性画分に存在した。すでにラットで行った<I>in vivo</I>実験では, 小腸下部内容物におけるフィチン酸によるカルシウムの不溶性比率の増加が観察されたのに, 今回の<I>in vitro</I>実験では, それと同様なpHである中性領域で, その増加はほとんど認められなかった。<BR>マグネシウムの不溶性比率の増加は, 1%添加飼料では, pH 5 (5.3) を超すとおこり, それはpHの上昇とともに著しくなった。<BR>亜鉛の不溶化はフィチン酸の影響を強く受け, 小腸下部内容物のpHすなわちpH 7付近 (6.9) では, その不溶性比率は無添加飼料で25%前後であったのに, 1%添加飼料では60%近くとなった。しかし, すでに行ったin vivo実験の小腸下部内容物中亜鉛に比較すると, 不溶性比率は約30〜40%も低かった。
- 社団法人 日本栄養・食糧学会の論文
著者
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吉田 勉
東京都立立川短期大学
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篠田 粧子
東京都立立川短期大学食物栄養学科
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篠田 粧子
東京都立川市立短期大学栄養化学研究室
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篠田 粧子
東京都立立川短期大学食物学科
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吉田 勉
東京都立立川短期大学食物学科
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