DualレーザーFlow cytometry法による活性化リンパ球の膜抗原についての解析
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概要
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健康成人末梢血リンパ球をPHA, Con AおよびPWMで刺激して,活性化リンパ球を誘導し,その細胞膜表面に出現してくる活性化リンパ球膜抗原をDualレーザーFlow Cytometer (EPICS-V,コールター社)を用いて分析した.健康成人末梢血単核球をFicoll-Conray比重遠心分離法によって分離し,細胞を洗浄後,細胞数が, 1×106mlとなるように, 10%の非働化胎児ウシ血清を添加したRPMI-1640培養液に浮遊した.この細胞浮遊液に至適濃度のレクチンを加え, CO2インキュベーターで72時間培養した.培養後,細胞をリン酸緩衝生食水で3回洗浄後,細胞膜表面抗原を間接螢光抗体法および間接螢光抗体法と直接螢光抗体法との二重螢光抗体法で螢光染色した.二重螢光抗体染色法は,まず, tetramethyl rhodamine isothiocyanate (TRITC)標識ヤギ抗マウスIgG血清を第二抗体として用いた間接螢光抗体法を行った後,さらに, fluorescein isothiocyanate (FITC)標識モノクローナル抗体,たとえば, FITC標識T4およびT8モノクローナル抗体で直接螢光抗体法を行った.抗Tacモノクローナル抗体, T4, T8, T6, OKT-9およびOKT-10モノクローナル抗体で識別される抗原やIa-様抗原が,レクチンで刺激して誘導された活性化リンパ球に著明に出現した.また,活性化リンパ球の膜表面抗原を二重螢光抗体染色法で標識し, DualレーザーFlow Cytometerで分析すると, T4陽性細胞のすべてにTac抗原が表現されており,またT8陽性細胞もTac抗原を表現していたが, Tac抗原陰性でT8が陽性の細胞も存在していた.さらに, T4とT8モノクローナル抗体で二重螢光抗体法を行ったところ,いずれのモノクローナル抗体とも反応するdouble marker cellsの存在することがわかった.J5で識別される急性リンパ芽球性白血病抗原(CALLA), B1で識別されるB細胞抗原およびMo 2で識別されるmyelomonocyte抗原は,活性化リンパ球にはいずれも出現していなかった.以上のことから,健康成人末梢血単核球をレクチンで刺激し,活性化リンパ球を誘導すると,その細胞膜上に,休止期には表現されていなかった新しい抗原が出現してくることがわかった.このように, 1つの細胞について,同時に2つの膜表面抗原を分析するためには二重螢光抗体法によって抗原を染色し, DualレーザーFlow Cytometerによって分析することがきわめて有用である.
著者
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横山 三男
久留米大学
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松尾 良信
久留米大学 免疫
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松尾 良信
久留米大学医学部免疫学
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木下 克海
株式会社日科機福岡営業所
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永田 義彦
株式会社日科機福岡営業所
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藤田 和博
株式会社日科機福岡営業所
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