甲状腺疾患に対するThyroid angiographyの応用
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概要
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甲状腺腫においては,良性か悪性かの術前診断は困難な場合が少なくない.甲状腺腫の性質がより確実に診断されるならば,無用の手術は避け得るし,また逆に良性腺腫として放置されたため周囲臓器へ浸潤し手術の時期を逸する例もなくなる.甲状腺はきわめて血管に富む臓器であつて線内の病変の種によりそれぞれ特有な血管構築上の病理形態的変化をもたらすはずである.この点に着目して甲状腺血管造影を試みたところ,その有用性が大きいことを確認した.われわれの行なつている甲状腺血管造影法では,浅側頭動脈の半周に横切開を加え,キーファーレッドのカテーテルを透視下に上甲状腺動脈分岐部直前までもしくは必要に応じて選択的に直接上甲状腺動脈内へ挿入して造影剤を注入する.撮影はElema-Schönarder式biplane連続撮影装置にて注入開始直前より8秒まで20枚撮影する.本法はきわめて容易に行なうことができ,造影剤の充盈も良好で,動脈相,毛細管相,静脈相の推移も充分判読でき,また確実性に富み,何ら危険性がない.悪性腫瘍の特徴的所見は血管の不整,甲状線充盈像の不整,不均一,腫瘍濃染などである.甲状腺機能亢進症では動脈枝の拡大,増加などhypervasculazityが認められ,充盈像は均一,整である.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
-
平野 実
久留米大学
-
三橋 重信
久留米大学医学部耳鼻咽喉科
-
岡田 正直
久留米大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
市川 昭則
久留米大学耳鼻咽喉科学教室
-
市川 昭則
久留米大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
岡田 正直
久留米大学耳鼻咽喉科学教室
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