ラット酢酸潰瘍の治癒過程における胃糖タンパク質生合成活性の変動
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ラット胃に酢酸潰瘍を作製し,2,10,40,80,365日目の時点で,その治癒過程における高分子糖タンパク質生合成の変動を<SUP>3</SUP>H-glucosamineの取り込みを指標として観察した.また,潰瘍作製ラットの非潰瘍部位についても同様に比較検討し,以下のことが明らかとなった.1) 酢酸潰瘍作製動物の潰瘍部位における全取り込み活性(組織およびメディウムの総和)とインキュベーション後に組織中に残存した全活性は,2日目で対照群の2.75,1.75倍と有意に上昇し,その後,全取り込み活性は,対照群と同じレベルに戻った.組織中の全活性は,徐々に減少して,365日で対照群の約50%となった.それに比較して,高分子糖タンパク質(peak I 画分)の生合成活性は,2日目で対照群の約50%まで有意に減少し,10日目で一度,対照群のレベルとなるが,40日以後,再び対照群の約50%に減少し,365日目では約30%となった.2) 潰瘍作製ラヅトの非潰瘍部位の組織高分子糖タンパク質の生合成活性は,潰瘍部位のそれとほぼ同様のパターンを示し,10日目で一度,対照群のレベルに回復した以外は,対照群の約50%と有意に減少していた.3) 継続的な内視鏡観察により再燃,再発を確認したラットの潰瘍部位と治癒したラット胃組織の作製365日目におけるそれぞれの<SUP>3</SUP>H-glucosamineラベル糖タンパク質のゲル濾過の溶出パターンは類似しており,高分子糖タンパク質は対照群の約50%と有意に減少していた.以上の結果は,慢性潰瘍において,何らかの刺激があれぽ,再燃,再発が起こり易い状態にあることを強く示唆するものである.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
関連論文
- 骨吸収におけるマトリックスメタロプロテアーゼの役割
- リソゾーム膜不安定化剤による線維芽細胞からのMucopolysaccharidaseの放出に及ぼすD-Penicillamineの作用
- Inhibitory Effect of D-Penicillamine on the Fibrosis caused by Bleomycin Treatment in Rat Carrageenin Granuloma
- Effect of Bleomycin on the Synthesis of Hexosamine-containing Substances in Cultured Fibroblasts
- 滲出性炎症における血管壁透過性亢進反応と白血球遊走反応の独立性について
- Effect of Anti-inflammatory Drugs on Leucocyte Migration and Protein Exudation into Carboxymethylcellulose Pouch in Lathyritic Rats
- Carboxymethyl Cellulose嚢法による各種ステロイド性抗炎症薬の白血球遊出に対する抑制効果
- 唾液腺から分離されたカルシトニン様物質とカルシトニンとの作用形式の比較
- 実験的Osteolathyrismに対するCalcitoninの作用(第1報) : Aminoacetonitrile処理による骨代謝の変動
- 唾液腺におけるカルシトニン様物質の存在について
- ウサギ関節軟骨の細胞外マトリックスおよびマトリックスメタロプロテアーゼ産生におよぼす加齢の影響
- ブタ精巣ヒアルロニダーゼの部分精製とその酵素性質
- β-Aminopropionitrileと高コレステロール食投与によるラット大動脈コレステロールと酸性ムコ多糖体の変動
- 増殖性炎症組織におけるムコ多糖および糖タンパクの経日的変化とこれらヘキソサミン含有物質に対する抗炎症薬の作用
- ヒト子宮頚管に存在する二種のPZ-ペプチタ-ゼ
- 子宮頚管熟化と細胞外マトリックス (4月第1土曜特集 細胞外マトリックス) -- (細胞外マトリックスと疾患)
- Dehydroepiandrosterone sulfate(DHA-S)膣坐薬の薬理学的研究
- Effect of Penicillamine on the Glycosaminoglycan Composition of Rat Aorta
- ラット酢酸潰瘍の治癒過程における胃糖タンパク質生合成活性の変動
- Inhibitory Effect of D-Penicillamine on Degradation of Hexosaminecontaining Substances in the Involution of Carrageenin Granuloma induced by Calcium Chelate Ethylenediaminetetraacetate
- 薬学教育における生化学
- 病院薬局実務実習についての一提案(GPCR(G-タンパク結合型受容体)と薬)
- 中国中医研究院との学術交流(薬系大学における国際交流 : 海外からの留学生受け入れ)
- 薬学領域における結合組織研究
- 東薬における医療薬学専攻科教育の現状(臨床薬学を履習して)
- 薬学を指向する有機化学教育(薬学における有機化学教育のあり方)