TRH類縁体(DN-1417):静脈内投与後のラットにおける血中濃度および脳内分布
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
thyrotropin-releasing hormone(TRH)の類縁体であるDN-1417(γ-butyrolactone-γ-carbonyl-L-histidy1-L-prolinamide citrate)をラットに静脈内投与し,血中濃度および脳内分布について,ラジオイムノアッセイ法を用いて検討しTRHと比較した.in vitro系における安定性について,DN-1417の脳組織ホモジネートおよび血液中での半減期(t<SUB>1/2</SUB>)は27.5分であったが,TRHのt<SUB>1/2</SUB>は5〜7.5分であり,DN-1417はTRHに較べ比較的安定であった.ラット脳へのマイクロウェーブ照射条件について,TRHは5kW,1.2〜1.5秒間の照射で酵素による分解は完全に抑制されたが,DN-1417の分解は完全に抑制されず,非酵素的分解が認められた.DN-1417(0.625,2.5および10 mg/kg)投与後の血中濃度はTRHと同様,見かけ上,two compartment open modelに従うパターンを示した.血中から組織への移行性を示すと考えられているα相の半減期(t<SUB>1/2</SUB>α)は3〜7分であり,血中からの消失を示すと考えられているβ相の半減期(t<SUB>1/2</SUB>β)は15〜22分で,いずれもTRHより2〜3倍長い値を示した.DN-1417の血中濃度のAUC(area under the curve)はTRHの2.5〜6倍大きい値を示した.DN-1417投与後の主代謝物[2-hydroxy-4-carboxybutyryl-L-histidyl-L-prolinamide(DN-COOH)]の血中濃度は低く,DN-1417の1.0%以下の値を示した.DN-1417投与後の脳内への移行性は速やかで,投与後1〜2分で最高値に達した.最高濃度を示す時点での脳内への移行率は投与量の0.062〜0.163%であった.全脳からのDN-1417の消失の半減期は13〜23分であった.DN-1417 2.5 mg/kg投与後の脳内諸部位への分布は,下垂体が最も高い値を示し,次いで側坐核および視床下部で,視床および線条体は低い値を示した.
著者
-
永井 康雄
武田薬品工業株式会社 創薬第一研究所
-
名川 雄児
武田薬品工業中研
-
佐治 美昭
武田薬品工業株式会社中央研究所
-
成実 重彦
武田薬品工業中研
-
永井 康雄
武田薬品工業(株)中央研究所
-
佐治 美昭
武田薬品工業(株)中央研究所
-
名川 雄児
武田薬品工業(株)中央研究所
-
成実 重彦
武田薬品工業(株)中央研究所
関連論文
- Neuroblastoma N 18のリン脂質合成に及ぼすビタミンB_1,B_6及びB_の影響
- Neuroblastoma N 18の細胞増殖に及ぼすビタミンB_1,B_6及びB_の影響
- 2-II-19 Alloxan糖尿病ラットの実験的神経炎に対するビタミンB_1,B_6,B_の効果(日本ビタミン学会 : 第27回大会研究発表要旨)
- 2-II-18 Neuroblastomaの細胞培養におけるビタミンB群の効果(日本ビタミン学会 : 第27回大会研究発表要旨)
- アロキサン糖尿病シロネズミの坐骨神経障害に及ぼすビタミンB_1の効果 : 特にB_1効果に及ぼすB_6,B_の影響
- アロキサン糖尿病シロネズミの坐骨神経障害に及ぼすビタミンB_1,B_6及びB_投与の影響
- Synthesis and Pharmacology of TRH Analogs to separate Central Nervous Action from Endocrine Activity
- 複素環化合物の研究(第1報)1,3,5-Triazine誘導体の合成と一般薬理作用について その1
- 新規脳血管障害急性期/頭部外傷治療薬TAK-218のドーパミン異常遊離抑制作用の作用機序
- 新規脳血管障害急性期/頭部外傷治療薬TAK-218の中枢神経におけるナトリウムイオン流入抑制作用
- 複素環化合物の研究(第2報)1,3,5-Triazine誘導体の合成と一般薬理作用について その2
- サルの無麻酔下における網膜電図記録法と二,三の薬物の影響
- 脳幹圧迫によるネコの行動および脳波変化ならびにそれに及ぼすThyrotropin-releasing hormone(TRH)の影響
- Thyrotropin-releasing hormone(TRH):一側線条体破壊動物におけるDopamine性旋回運動増強ならびにTRH自体の旋回運動作用
- TRHおよびその類縁体DN-1417の中枢作用ラットおよびマウスにおける中枢ドーパミン依存性行動に及ぼす影響
- ラット側坐核破壊による行動変化とそれに及ぼす中枢作用薬の影響
- Thyrotropin Releasing Hormone(TRH)のネコにおける脳波,交感神経および呼吸賦活作用の作用点
- 生理活性アミンとthyrotropin-releasing hormone(TRH) (生理活性アミンと生体制御--受容体・生理・病理) -- (生理活性アミンの生理作用)
- Thyrotropin-Releasing Hormone(TRH)の中枢神経薬理
- Thyrotropin-releasing hormone(TRH): ラット線条体切片からのDopamine遊離促進の作用機序
- 2-Methyl-4-amino-6-methoxy-s-triazine (CV 399)の脳波学的研究
- 2-Methyl-4-amino-6-methoxy-s-triazine (CV399)の一般薬理作用,とくに中枢作用を中心として
- Iprazochromeの血管系における薬理作用の研究
- イデベノン(CV-2619)の脳内分布および脳内グルコース利用率に及ぼす影響
- TRH類縁体(DN-1417):Reserpineに対する脳内グルコース利用率および脳内モノアミンにおける拮抗作用
- TRH類縁体(DN-1417):静脈内投与後のラットにおける血中濃度および脳内分布
- TRH類縁体(DN-1417):ラット脳内モノアミン代謝に及ぼす影響
- 椎骨および総頸動脈閉塞による脳虚血モデルラットの局所脳血流量の検討
- 椎骨および総頸動脈閉塞による脳虚血モデルラットの神経化学的検討
- 椎骨および総頸動脈閉塞による脳虚血モデルラットの薬理学的検討 一般症状,脳波,神経化学的パラメータならびに局所脳血流量の変化に対するDN-1417の作用
- 椎骨および総頸動脈閉塞による脳虚血モデルラットの生理学的ならびに生化学的検討
- TRH類縁体(DN-1417)の電撃痙攣における抗Reserpine作用