Thyrotropin-releasing hormone(TRH): ラット線条体切片からのDopamine遊離促進の作用機序
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概要
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ラット線条体切片からのTRHのdopamine(DA)遊離促進の作用機序を主にCa<SUP>2+</SUP>およびcholinergic系の関与を中心に検討した.TRH(10<SUP>-5</SUP>〜10<SUP>-3</SUP>M)は,ラット線条体切片への<SUP>14</SUP>C-DAの取り込みを濃度に依存して軽度ながら有意に促進した.一方,対照に用いたmethamphetamine(10<SUP>-6</SUP>〜10<SUP>-4</SUP>M)は,顕著に濃度に依存して同取り込みを阻害した.TRH(10<SUP>-7</SUP>〜10<SUP>-3</SUP>M)は,incubation液中へのDA遊離に対して影響を与えなかったが,monoamine取り込み阻害剤,desipramine(5×10<SUP>-5</SUP>M)の共存下ではTRH(10<SUP>-7</SUP>〜10<SUP>-5</SUP>M)は有意に同遊離を促進した.ラット線条体切片を表面灌流すると,TRH(10<SUP>-5</SUP>〜10<SUP>-3</SUP>M),methamphetamine(10<SUP>-6</SUP>〜10<SUP>-4</SUP>M)およびKCl(2.5〜5.0×10<SUP>-2</SUP>M)はいずれも有意に灌流液中へのDA遊離を促進した.TRHによるDA遊離促進作用は,Cholinergic阻害剤(Scopolamine,hexamethoniumあるいはhemicholinium)および灌流液中のCa<SUP>2+</SUP>の除去,Ca<SUP>2+</SUP>chelator(EGTA),Ca<SUP>2+</SUP>拮抗剤(CoCl<SUB>2</SUB>),Ca<SUP>2+</SUP>流入阻止剤(D-600)等のいずれの処置によっても完全に消失した.Methamphetamineの作用は上記のいずれの処置でもほとんど影響をうけず,灌流液中のCa<SUP>2+</SUP>除去+EGTA(10<SUP>-3</SUP>M)で,はじめてその作用が部分的に減弱した.またラット大脳皮質切片への<SUP>3</SUP>H-norepinephrine(NE)の取り込みに対してTRH(10<SUP>-4</SUP>M)添加は軽度ながら有意に促進し,methamphetamine(10<SUP>-6</SUP>〜10<SUP>-4</SUP>M)は顕著に同取り込みを阻害した.大脳皮質切片からのNE遊離に対してTRH(10<SUP>-6</SUP>〜10<SUP>-4</SUP>M)およびmethamphetamine(10<SUP>-7</SUP>〜10<SUP>-5</SUP>M)添加はおのおの濃度に依存して同遊離を促進した.以上の成績より,TRHはin vitroのラット線条体切片の表面灌流法において,cholinergicな系を介して外液Ca<SUP>2+</SUP>の流入を促進し,その結果,DA遊離を促進したと思われる.これは対照に用いたmethamphetamineが外液Ca<SUP>2+</SUP>に依存せずに同促進作用を示すのとまったくその作用機序を異にしていた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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成実 重彦
武田薬品工業株式会社中央研究所
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永井 康雄
武田薬品工業株式会社 創薬第一研究所
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名川 雄児
武田薬品工業株式会社中央研究所
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名川 雄児
武田薬品工業中研
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成実 重彦
武田薬品工業中研
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永井 康雄
武田薬品工業(株)中央研究所
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永井 康雄
武田薬品工業株式会社中央研究所
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名川 雄児
武田薬品工業(株)中央研究所
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成実 重彦
武田薬品工業(株)中央研究所
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