ストレス下におけるラット中枢神経諸核のグルコース利用率におよぼすBromazepamの影響
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概要
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中枢の神経終末部のシナプス活性の指標とされるSokoloEらの〔<SUP>14</SUP>C〕-2-deoxy-D-glucose(DG)法を応用し,水浸拘束ストレス下での中枢神経諸核中への<SUP>3</SUP>H-DG取り込みの変動と,benzodiazepine系薬物であるbromazepamの影響をWistar系雄性ラットを用いて検討した.10分間の水浸拘束ストレスは検索した42の神経核中,前頭葉,扁桃体中心核・外側核,腹内側核,黒質,外側網様核ならびに偽核と下垂体前葉,副腎で,右意(P<0.01)なグルコース利用率の増加をきたした.この変化は扁桃体中心核,偽核ならびに下垂体前葉で特に著明であり,bromazepamの非筋弛緩用量(1mg/kg,p.o.)はこれらの部位でのストレス性興奮に選択的に拮抗した.より長期にわたる55分間の水浸拘束ストレスは,検索した全神経核ならびに下垂体,副腎で著しいグルコース利用率の非特異的な上昇を示した.なお動揺性高血圧症のモデルとした高血圧自然発症ラットでは,軽度な拘束ストレス(30秒間)が末梢循環血中へのカテコールアミン(epinephrine,norepinephrine)ならびにdopamine β-hydroxylaseの遊離を促進し,同時に昇圧反応をきたしたが,いずれの反応もbromazepam(3mg/kg,p.o.)の前処置で完全に抑制された.以上の結果から,拘束ストレスは主に扁桃体,腹側扁桃体遠心路ならびに視床下部内の神経核を活性化し,下垂体一副腎系と末梢交感i神経系の興奮をもたらすと考えられ,bromazepamは扁桃体中心核に主要な作用部位を有するものと推定される.またbromazepamは動揺性の情動性高血圧症への有効性が示唆される.
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