Trimoprostil(Ro 21-6937),Trimethyl-prostaglandin E<SUB>2</SUB>,の抗消化性潰瘍ならびに胃粘膜保護作用について
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概要
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prostaglandin E<SUB>2</SUB>(PGE<SUB>2</SUB>)の誘導体であるtrimoprostilの胃粘膜保護作用,胃粘液分泌作用,抗ストレス潰瘍作用,胃腸管局所血流量におよぼす作用,胃酸分泌抑制作用さらに副作用面からの検討として胃腸管排出能,腸管内水分貯留におよぼす影響についても検討した.対照薬としてPGE<SUB>2</SUB>,cimetidineおよびsulpirideを用いた.trimoprostilおよびPGE<SUB>2</SUB>の経口投与は,無水ethanol,0.6N HCl溶液,0.2N NaOH溶液,25% NaCl高張液誘発のラット胃粘膜障害を用量依存性(1〜300μg/kg,p.o.)に抑制した.この胃粘膜保護作用はcimetidine,sulpirideではみられなかった.またaspirinによるイヌ胃腸管内出血はtrmoprostil,PGE<SUB>2</SUB>により著明に抑制された.ラットの自発性胃粘液分泌に対しては両薬物による影響はみられず,ストレス負荷による粘液分泌減少を抑制した.ストレス潰瘍に対するtrimoprostilの抑制作用はPGE<SUB>2</SUB>,cimetidine,sulpirideより強い.ラット胃局所血流量(<SUP>51</SUP>Cr-microsphcre法)に対しては胃粘膜保護作用を示す量では影響を与えなかった.胃酸分泌について,幽門結紮ラットに対する胃内へ直接投与により酸分泌は抑制された.この抑制はPGE<SUB>2</SUB>より強力であった.またHeidenhain-pouch犬でも著明な酸分泌抑制を示し(ED50=33μg/kg,p.o.),cimetidine(ED50=6.1 mg/kg,p.o.)よりはるかに強力であった.胃腸管排出能についてtrimoprostilは大量の3mg/kg,p.o.で腸管輸送能を亢進し,10mg/kg,p.o,で下痢を誘発したが,これらの作用はPGE<SUB>2</SUB>(3,10mg/kg,p.o.)に比較して明らかに弱かった.さらに腸管内水分貯留量に対する髭響を検討したがPGE<SUB>2</SUB>はtrimoprostilより1.6倍強力であった.以上経口投与で著明な胃酸分泌抑制作用を示すtrimoprostilは強い胃粘膜保護作用をも有しており,これは胃粘液分泌の保持作用によると推定される.このような胃粘膜保護作用はcimetidine,sulpirideにはみられなかった.
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