非ステロイド性抗炎症薬 Ro 12-0068の薬理学的研究
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概要
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新規な非ステロイド性抗炎症薬 Ro12-0068 について9種の実験炎症モデルに対する活性スペクトラム,消化器系および prostaglandin 生合成に対する影響について検討した。本薬物は adjuvant 関節炎,熱湯性浮腫および肉芽増殖反応(granuloma pouch 法,cotton pellet 法)に対し,diclofnac sodium より強い抑制効果を示し,indomethacin,piroxicam とほぼ同程度の抑制作用を示した.またほぼすべての実験系で本薬物は naproxen,flufenamic acid,mefenamic acid,phenylbutazone,acetylsalicylic acid より著しく強い抗炎症効果を示した.以上のことから本薬物は indomethacin,diclofenac sodium,piroxicam 等と同様な強力なる抗炎症薬群に分類される.本薬物のラット消化器系に対する潰瘍惹起作用,イヌにおける便潜血反応の陽性化は indomethacin,piroxicam より弱く diclofenac sodium と同程度であった.なおpiroxicam 同様に便潜血反応の陽性化は持続的であった.しかしラットでの治療係数(絶食性潰瘍惹起作用/抗炎症効果)はいずれの実験系においてもpiroxicam より高く,indomethacin と比較しても高い傾向を示した.またラットに本薬物を連続投与すれば炎症巣および消化器系組織中の prostaglandin 含量は共に低下するがその活性は piroxicam と同等であり,炎症組織,消化管中の prostaglandin 合成抑制能の分離は他の抗炎症薬と同様に認められなかった.しかしながら Ro12-0068 は著るしい抗炎症効果を示すにもかかわらず消化器系の潰瘍惹起作用は弱いのが特徴的である。
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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