抗てんかん薬Clonazepamの中枢薬理作用
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概要
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clonazepamの抗けいれん作用を中心に中枢作用を検討し,以下の成績を得た.1)マウス,ラットで鎮静,馴化,筋弛緩作用が認められ,雌雄成犬で後肢弛緩,鎮静がみられた.2)各種の抗てんかん薬と比べ,マウス,ラットで抗Metrazolけいれん,マウスで抗電撃ショック,抗strychnine,抗picrotoxin作用においてはるかに強力であり,特に抗Metrazo1けいれん作用が著しく認められた.3)マウスで抗Metrazolけいれん,抗電撃ショック作用に連投の影響は認められず,ラットで抗Metrazolけいれん作用に雌雄ともに連投の影響は認められなかった.さらに慢性電極植込みラットに本剤を連投すれば,海馬後発射の刺激閾値の上昇がみられた.なおマウス,ラット共に本剤による筋弛緩作用は連投により消失した.4)抗Metrazolけいれん,抗電撃ショック作用においてマウスで週令差を認めず,抗Metrazo1けいれん作用においてラットの雌雄間に差を認めなかった.5)抗てんかん薬との併用効果に関し,マウスにおいてphenobarbital,ethosuximideの抗Metrazolけいれん,およびdipheny1・hydantoin,phenobarbital,trimethadione,ethosuximideの抗電撃ショック作用を本剤は増強した,6)無拘束ラットで海馬,扁桃核刺激による脳波後発射およびMetrazolによる間代性けいれん,脳波発作波を著明に抑制したが,皮質刺激による脳波後発射を抑制しなかった.またgallamine不動化ネコで海馬,扁桃核,正中中心核刺激による脳波後発射を抑制した.しかし中脳網様体刺激による覚醒反応は持続が著しく短縮されたが,閾値上昇は来たさなかった.さらに扁桃核-海馬間誘発反応は著明に抑制された.なお中枢性抗コリン作働薬による増大反応を抑制した.両側海馬間誘発反応には影響は認められなかった.7)脊髄ネコ標本で後根反射の著明な増大およびsynaptic recoveryの減少がみられたが強縮後増強への作用は認められなかった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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中村 圭二
日本ロシュ 研
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鈴木 勉
日本ロシュ研究所薬理学部
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矢島 孝
日本ロシュ研究所薬理学部
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瓜谷 克子
日本ロシュ研究所・薬理学部
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青木 理恵
日本ロシュ研究所・薬理学部
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矢島 孝
日本ロシュ研究所・薬理学部
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鈴木 勉
日本ロシュ研究所・薬理学部
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中村 圭二
日本ロシュ研究所・薬理学部
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