Guanabenzの薬理学的研究 ―心臓血管系に対する作用―
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概要
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新規抗高血圧薬guanabenzの心臓血管系に対する作用を種々の実験動物を用い,clonidineおよびguanethidineとの比較下に検討した.guanabenzは静注により麻酔イヌで一過性の昇圧と持続的な降圧の二相性作用,徐脈作用,呼吸抑制作用ならびにT波の増大,PQとTP間隔の延長などの心電図変化を示した.持続性降圧および徐脈作用は,ネコ,ウサギおよびラットにおいても観察された.同様の心臓血管系の反応は,clonidineにおいても認められたが,guanethidineは若干作用を異にした.guanabenzの降圧および徐脈作用の強さは,clonidineの約1/10,guanethidineの約10倍であった.guanabenzの初期昇圧反応は脊髄切断ネコにおいても認められた.しかし,guanabenzをラット脳室内あるいは延髄孤東核に投与した時には,昇圧反応は消失し,持続性の降圧および徐脈反応のみが観察された.また,guanabenz静脈内あるいは動脈内投与により,イヌ心機能は抑制され,総頸動脈および大腿動脈血流量は減少し,後肢灌流圧は著しく増加した.これらの結果より,guanabenzの初期昇圧作用は末梢性であり,その後に続いてみられる持続性降圧および徐脈作用は中枢性であることが明らかとなった.摘出心房筋標本および大動脈標本において,guanabenzはclonidineおよびguanethidineの1/10以下の濃度で,律動数の減少,収縮力の減弱をひき起こした.また,guanabenzは,心房筋活動電位の立上り速度を減少させた.以上の結果より,guanabenzは低用量で申枢性の降圧作用をひき起こすが,高用量では末梢組織にも直接作用して非特異的機能抑制を惹起することが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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北条 雅一
日本商事 医薬研
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北条 雅一
日本商事株式会社 医薬研究所 薬理研究部
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吉田 洋一
日本商事株式会社 医薬研究所 薬理研究部
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長坂 保則
日本商事株式会社医薬研究所薬理研究部
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町田 幸一
日本商事株式会社医薬研究所薬理研究部
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辰巳 煕
日本商事株式会社医薬研究所薬理研究部
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吉田 洋一
日本商事株式会社医薬研究所薬理研究部
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長坂 保則
日本商事株式会社医薬研究所
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辰巳 煕
日本商事株式会社医薬研究所
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