Mequitazine (LM-209) の薬理学的研究(第5報) : Mequitazineの主代謝産物Mequitazine sulfoxideの薬理作用
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概要
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新しい抗-histamine剤, Mequitazine (LM-209) は広範囲なchemical mediatorに対して有効で, IgGおよびIgE抗体が関与するアレルギーの反応に対しても著明な抑制効果を有し,また,中枢作用および一般薬理作用においては既知の抗-histamine剤であるclemastine fumarate (C. L.)とほぼ同等の薬理作用を有することが認められている.このMequitazineの主代謝産物であるMequitazine sulfoxide (LM-209 SO) の薬理作用をLM-209と比較下に検討し,以下の結果を得た. 1) LM-209 SOの摘出モルモット回腸における抗-His作用および抗-ACh作用はそれぞれLM-209の約1/8と約1/20であった. 2) LM-209 SO 5mg/kg p. o. によるマウスhistamine致死防禦効果はLM-209の1/2.5であった. 3) LM-209 SOのp. o. によるマウス急性毒性はLM-209と同様,雌雄差は認められず,その強さはLM-209の約1/3であった.また,中毒症状,死亡例および生存例における剖検所見はLM-209のそれと質的に類似していた. 4) LM-209 SO 5mg/kg i. v. はウサギにおける自発脳波,覚醒反応(音および中脳網様体電気刺激)ならびに漸増反応に対し何ら影響をおよぼさず,催眠作用が弱いと言われているC. L. とほぼ同等の脳波反応を持つLM-209より遥かに弱かった. 5) LM-209 SOのp. o. によるマウス散瞳作用はLM-209に比べ明らかに弱いことが認められた. 6) LM-209 SOの局所麻酔作用はLM-209に比べ表面麻酔作用で1/20以下であり,浸潤麻酔作用では約1/2であった. 7) LM-209 SOは効果面でLM-209に比べ弱いことがうかがえ, LM-209に認められる毒性,中枢作用および抗-cholineによる軽度の副作用に対しても明らかに弱いことが結論付けられた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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北条 雅一
日本商事 医薬研
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北条 雅一
日本商事株式会社 医薬研究所 薬理研究部
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芹沢 功
日本商事株式会社 医薬研究所 薬理研究部
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長坂 保則
日本商事株式会社医薬研究所薬理研究部
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片山 理
日本商事株式会社医薬研究所薬理研究部
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北条 雅一
日本商事株式会社医薬研究所薬理研究部
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芹沢 功
日本商事株式会社医薬研究所薬理研究部
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長坂 保則
日本商事株式会社医薬研究所
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片山 理
日本商事株式会社医薬研究所
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