Guanabenzの薬理学的研究 ―中枢神経系に対する作用―
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概要
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clonidineよびguanethidineの部分構造を併有する新規中枢性抗高血圧guanabenz(Wy-8678)の中枢神経系に対する作用を,マウス,ラットおよびウサギを用いて検討し,clonidineおよびguanethidineのそれと比較した.1) マウスー般症状観察において,guanabenz(1〜30mg/kg,i.p.)投与は,尾部圧迫および腹部接触刺激に対する反応性の低下,耳介反射の抑制,運動量減少,運動失調,体温下降,呼吸数減少など,主として中枢抑制によると考えられる症状が用量依存性に認められた。clonidine(0.3,1mg/kg,i.p.)によっても質的にはほぼ類似する症状の出現をみたが,その作用は,guanabenzに比較して10倍程度強力であった.2) ラットにおいては,guanabenzは,著明な筋弛緩作用を示さない用量(2.5〜20mg/kg,p.o.)で,運動協調性の障害,条件回避行動の抑制,抗最大電撃痙攣作用を示し,さらにthiopental睡眠時間延長作用,正常体温下降作用を示した.しかし,strychnine誘発痙攣に対しては,抗痙攣あるいは抗致死作用を示さなかった.これらの作用は,質的にはclonidineに類似するが,量的にはclonidineよりも遥かに弱いものであった.また,guanethidineについては,いずれの作用も極めて弱く明確なものではなかった.3) ウサギ正常体温に対してguanabenz(5〜20mg/kg,,p.o.)およびclonidine(0.5,1mg/kg,p.o.)は明確な作用を示さず,ラット正常体温に対する作用との相違が認められた.以上の如く,guanabenzは中枢神経系に対して概して抑制的に作用し,質的にはclonidineに類似するものであったが,その作用の程度はclonidineに比較して遥かに弱いものであった.
著者
-
河野 茂勝
京都薬科大学 病態薬科学系 薬理学分野
-
大幡 勝也
京都薬科大学薬理学教室
-
大幡 勝也
京都薬科大学
-
村田 保
京都薬科大学RIセンター
-
長坂 保則
日本商事株式会社医薬研究所薬理研究部
-
坂本 博彦
京都薬科大学薬理学教室
-
井上 和子
京都薬科大学薬理学教室
-
小林 元樹
京都薬科大学薬理学教室
-
笠井 浩
日本商事株式会社医薬研究所薬理研究部
-
長坂 保則
日本商事株式会社医薬研究所
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