麦角アルカロイド誘導体,Lisurideの中枢ドーパミン作動作用―行動薬理学的研究―
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概要
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lisuride hydrogen maleate(lisuride)の中枢ドーパミン(DA)作用を行動薬理学的に検討した.lisurideはマウスおよびラットの自発運動量に対し,二相性の作用を示した.すなわち,低用量では運動量減少作用が,中,高用量では運動量増加作用が認められた.ラットでのlisuride(0.00625mg/kg,s.c.)による運動量減少作用は,低用量(10mg/kg,i.p.)のsulpirideにより,またlisuride(0.05mg/kg)による運動量増加作用は,0.1mg/kgのhaloperidolにより拮抗された.またreserpineとα-methyl-p-tyrosineの併用前処置により減少した運動量は,lisuride(0.05mg/kg)の投与により有意に増加した.マウスのmethamphetamineによる運動量増加は,低用量のlisurideにより拮抗された.6-hydroxydopamine注入による一側黒質線条体破壊ラットで,低用量のlisurideは正常側への旋回運動を誘発し,この旋回運動誘発作用はhaloperidolにより拮抗された.以上の成績から,lisurideは中脳辺縁系および黒質線条体系のDAニューロン系において,低用量でシナプス前DA受容体および超過敏化したシナプス後DA受容体に効果的に作用する中枢DA作動薬であることが示された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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押野 臨
日本シェーリングK.K.研究開発部
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原 公生
日本シエーリング
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原 公生
日本シェーリング株式会社研究第II部
-
生駒 幸弘
日本シェーリング株式会社研究第II部
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押野 臨
日本シェーリング
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生駒 幸弘
日本シェーリング(株)研究部
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原 公生
日本シェーリング(株)研究部
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