合成副腎皮質ステロイドMethylprednisolone aceponateの抗炎症作用
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概要
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methylprednisolone aceponate(MPA)の塗布時と全身投与時の抗炎症効果をbetamethasone 17-valerate(BV),clobetasol 17-propionate(CP),diflucortolone 21-valerate(DFV),hydrocortisone 17-butyrate(HB),hydrocortisone 17-butyrate 21-propionate(HBP)と比較した.ラットのクロトン油耳浮腫試験とマウスの遅延型アレルギー反応試験では,MPAの塗布時の抗炎症作用は強力なハロゲン型ステロイドのCP,DFVよりわずかに弱かったが,非ハロゲン型のHB,HBPより強力であった.BVの塗布時の抗炎症効果はラットではMPAより弱く,マウスではMPAより強かった.これらの両炎症モデルで,皮下投与時のMPAの抗炎症作用は塗布時に比べて弱かった.すなわち,各ステロイドの塗布時と皮下投与時の抗炎症力価の比はMPAが最も高く,MPAは局所抗炎症効果が強力で全身性作用が弱い薬物であることが示唆された.ラットのクロトン油耳浮腫試験において,MPAのC-21位の脱エステル型のmethylprednisolone 17-propionateとC-17,21位の両方が脱エステル型のmethylprednisolone(MP)の抗炎症作用は,塗布時ではMPAより弱く,皮下投与時ではそれぞれMPAよりやや強力か,または同等であった.したがって,塗布時と皮下投与時の抗炎症力価の比はMPAが最も高かった.このようなMPAの抗炎症外用剤としての優れた特徴は,本来活性の弱い非ハロゲン型ステロイドであるMPのC-17,21位をジエステル化することによりもたらされたと考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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紙谷 清
日本シェーリング
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中川 英彦
日本シェーリング(株)研究部生物研究グループ
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生駒 幸弘
日本シェーリング株式会社研究第II部
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山下 雅世
日本シェーリング(株)研究部
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生駒 幸弘
日本シェーリング(株)研究部
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紙谷 清
日本シェーリング(株)研究部
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中川 英彦
日本シェーリング(株)研究部
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中川 英彦
日本シェーリング(株)医薬研究開発本部研究部
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