非イオン性造影剤の中枢作用の比較
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概要
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非イオン性造影剤(metrizamide,iopamidol,iocibidol,iopromide,iohexol,iosimide,iotrolan)の中枢に対する作用を,Irwin の方法に基づいたマウスの一般行動観察,抗電撃痙攣,ラットの脳波,血圧,ウサギの脳波を調べることにより明らかにすることを試みた.一般行動観察では,iopamidol.iotrolan,iocibidol の与える影響は軽度,iopromide,iohexolでは中等度,iosimide,metrizamide では重度であった.全身投与により血圧は iosimide と iohexol で,他の造影剤とは異なり持続的に低下した.この作用は脊髄破壊をしたラットでは消失したことから中枢作用に由来すると結論された.電撃痙攣試験でも iosimide,iopromide,iohexol の投与でマウスの死亡率が増加し,両剤の痙攣原性が示唆された.脳に対する直接作用については,脳内に造影剤を投与した時に観察される脳波の変化により調べた.イオン性造影剤,ioxaglate,iosimide,iopromide で痙攣波,徐波,脳波の平坦化等が誘発されたが他の造影剤では影響はほとんど認められなかった.以上の結果から iopromide と metrizamide は一般症状の他に脳内に直接投与したときの耐容性が劣っており,iohexol は一般症状,電攣痙攣死,血圧の影響が,iosimide は調べられた全ての項目に対し影響が大きく,これに対して iopamidol,iotrolan,iocibidol は全ての試験で耐容性に優れていることが明らかになった.観察された中枢作用と浸透圧濃度との間に関係は認められず,非イオン性造影剤間の中枢に対する作用の違いは,相互に比較的類似した構造であるにもかかわらず,トリヨードベンゼン環の側鎖にあるわずかな構造上の差異に基づくものであることが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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中川 英彦
日本シェーリング(株)研究部生物研究グループ
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中川 英彦
日本シエーリング
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生駒 幸弘
日本シェーリング株式会社研究第II部
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押野 臨
日本シェーリング
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有田 茂
日本シェーリング(株)研究部薬理
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小林 佐和子
日本シェーリング(株)研究部薬理
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生駒 幸弘
日本シェーリング(株)研究部薬理
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生駒 幸弘
日本シェーリング(株)研究部
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中川 英彦
日本シェーリング(株)研究部薬理
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中川 英彦
日本シェーリング(株)医薬研究開発本部研究部
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押野 臨
日本シェーリング(株)研究部薬理
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