抗高血圧薬Terazosinのαアドレナリン遮断作用
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概要
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新規抗高血圧薬terazosinの作用機序解明の一環として,血管平滑筋収縮薬に対する拮抗の有無,並びにαアドレナリン受容体遮断作用(α遮断作用)について検討した.1) terazosin 10<SUP>-4</SUP>Mはラット胸部大動脈条片におけるCa<SUP>2+</SUP>,Ba<SUP>2+</SUP>,serotoninおよびangiotensin II収縮に対して影響を及ぼさなかった.2) terazosinはラット胸部大動脈条片におけるnorepinephrine(NE)およびphenylephrine(PE)の用量収縮反応曲線を右に平行移動させた.この作用のpA<SUB>2</SUB>値はNE拮抗で9.28,PE拮抗で8.74であり,それぞれprazosinの0.11,0.09倍,phentolamineの8,6倍およびyohimbineの176,60倍であった.更に,pithedラットにおいて,terazosinの静脈内投与はPEの用量昇圧曲線を右に平行移動させた.その“pA<SUB>2</SUB>”値は5.22であり,prazosinの0.05倍,phentolamineの5倍およびyohimbineの62.5倍であった.一方,pithedラットの心臓交感神経節前線維電気刺激下のclonidineによる心拍数低下に対して,terazosinは0.3mg/kg以下の静脈内投与では有意な作用がなく,1mg/kgで弱い拮抗作用を示した.prazosinは0.3mg/kg以上で,phentolamineおよびyohimbineは0.1mg/kgで有意な拮抗作用を示した.従って,terazosinのシナプス前α<SUB>2</SUB>遮断作用はprazosin,phentolamineおよびyohimbineのいずれよりも弱いことが示唆された,3) 無麻酔無拘束下ラットにおけるPEの昇圧反応に対し,terazosinは0.3および1mg/kgの経口投与により遮断作用を示し,その持続はそれぞれ8時間および12時間であった.4) 以上の結果より,terazosinの抗高血圧作用は交感神経系のシナプス後α遮断によることが示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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花塚 光男
(株)三菱化成安全科学研究所鹿島研究所
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堀井 大治郎
(株)三菱化成安全科学研究所鹿島研究所
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堀井 大治郎
三菱化成工業(株)総合研究所医薬研究所
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花塚 光男
三菱化成工業(株)総合研究所筑波医薬研究所
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溝上 進
三菱化成工業(株)総合研究所筑波医薬研究所
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堀井 大治郎
三菱化成工業(株)総合研究所筑波医薬研究所
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花塚 光男
三菱化成工業(株)総合研究所第二研究部門筑波医薬研究所
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