静脈内投与ならびに側脳室内微量注入時のTerazosin,PrazosinおよびClonidineのラット遠心性交感神経自発放電に及ぼす影響
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概要
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抗高血圧薬terazosinの腎神経遠心性自発放電(腎神経活動)に及ぼす作用を,麻酔―非動化ラットを用いて検討した.terazosin0.3mg/kg,i.v.を投与すると,腎神経活動は投与前値に比べ投与0.5分後で平均15.4%,10分後で平均21.7%ならびに15分後では平均29.4%増加した.一方血圧は,投与0.5分後に最大平均58.4%と明らかに下降し,以後緩徐な回復傾向を示したが,投与15分後でも完全回復には至らなかった.この時心拍数には,明らかな変化は認められなかった.prazosin 0.1mg/kg,i.v.投与でも血圧はterazosin 0.3mg/kg,i.v.とほぼ同程度に下降し,腎神経活動も投与直後では平均21.6%増加した.また心拍数も最大平均5.6%の増加が認められた.terazosinならびにprazosin 3μg/kgを脳室内(i.c.v.)に投与すると,2〜3分後から腎神経活動は緩徐に増加し始め,投与10〜15分後のterazosinの場合は平均16%,prazosinでは平均7.2%前後の増加を認めた.この時の両者にも,軽微な血圧下降ならびに心拍数増加作用が認められた。中枢性抗高血圧薬clonidineは,0.1mg/kg,i.v.投与で最大平均69.2%,10μg/kg,i.c.v.投与でも26.2%の腎神経活動の抑制作用を示した.一方,terazosinならびにprazosinlOμ9/kg,i.c.v.前投与によって,phenylephrine 1μg/kg,i.v.による昇圧反応を明らかに抑制した.以上の事実から,terazosinの血圧下降作用の本態に,clonidineとは異なり中枢性血管収縮神経の抑制作用を介する機序の関与はないものと考えられる.
著者
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渡辺 俊明
三菱化成工業 総研
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西 広吉
三菱化成工業 総研
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西 広吉
三菱化成工業(株)総合研究所第二研究部門筑波医薬研究所
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渡辺 俊明
三菱化成工業(株)総合研究所第二研究部門筑波医薬研究所
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花塚 光男
三菱化成工業(株)総合研究所第二研究部門筑波医薬研究所
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幸 敏志
三菱化成工業(株)総合研究所第二研究部門筑波医薬研究所
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