Suloctidilの脳機能保護作用
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概要
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suloctidilのhypobaric hypoxia,完全虚血脳におけるgasping数ならびにKCNによるhistotoxic anoxiaに及ぼす作用をマウスを用いて検討し,併せてhypobaric hypoxia負荷時の脳エネルギー代謝に及ぼす作用をも検討した.1)hypobaric hypoxia負荷時のマウスの生存時間はsuloctidil3〜25mg/kg,i.p.投与によって用量依存性に有意に延長された.しかしsuloctidil 50mg/kg,i.p.投与時の生存時間の延長作用は有意ではあったが,25mg/kg,i.p.投与時に比較すると短縮された.cilmarizine 50〜200mg/kg,i.p.投与ではhypoxia保護作用は認められなかったが,pyrithioxineは10mg/kg,i.p.投与によって対照群の2倍と有意に生存時間の延長をもたらせた.2)完全虚血脳のgasping数はsuloctidil25ならびに50mg/kg,i.p.投与によって有意に増加した.3)histotoxic anoxia負荷時の致死作用はsuloctidil25mg/kg,i.p.投与で30.8%,50mg/kg,i.p.投与で46.2%の保護作用が認められた.しかしpyrithioxine12.5〜50mg/kg,i.p.投与では何の保護作用も認められなかった.4)hypobaric hypoxia負荷時の脳内glucose濃度は,suloctidil 3〜25mg/kg,i.p.投与で29〜86%と有意に上昇した.この時の脳内lactate濃度の上昇は4〜14%程度抑制された.suloctidil 25mg/kg,i.p.投与時の脳エネルギー代謝に及ぼす作用を検討した結果,normoxia時には有意なglucose濃度の上昇とlactate濃度の低下が認められたが,ATP濃度には変化はなかった.しかしhypoxia時のglucose,lactate濃度はnormoxia時とほぼ同様の変動を示し,ATP濃度は平均21.5%の有意な上昇が認められた.5)normoxia時の血糖値はsuloctidilで影響を受けなかったが,血中lactateは平均30.5%と有意に減少した.6)このようなsuloctidil投与時の脳内glucose濃度の上昇の機序は現在のところ不明確であるが,円滑な好気的解糖系の調節維持作用がsuloctidilの脳機能保護作用に密接に関与しているものと推定される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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門脇 修一郎
三菱東京製薬(株)医薬総合研究所
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門脇 修一郎
三菱油化薬品(株)研究所
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西 広吉
三菱油化薬品(株)研究所薬理グループ
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遠藤 信夫
三菱油化薬品(株)研究所薬理グループ
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西 広吉
三菱化成工業 総研
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西 広吉
三菱油化薬品(株)研究所
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門脇 修一郎
三菱油化薬品(株)研究所薬理グループ
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