Suloctidilの中枢ならびに末梢神経系に及ぼす作用
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概要
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suloctidil(以下MY103と略)の中枢および末棺神経系に及ぼす単回投与時の作用,ならびに1カ月連続投与時の中枢神経系に及ぼす影響に付いて検討した.MY103をマゥスに投与すると,軽度の運動量の低下と軟便の排出が300mg/kg,p.o.以上の用量で認められた.beagle犬では100mg/kg,p.o.以上で嘔吐ならびに下痢が観察された以外には著変はなかった.自発運動量はマウスでは100mg/kg,p.o.以上で,ラットでは300mg/kg,p.o.で有意に減少した.pentobarbital睡眠の持続時間はMY103 300mg/kg,p.o.で有意に延長されたが,barbital睡眠には何の影響も与えなかった.またMY103には抗けいれん作用は認められなかったが,酢酸writhing数を300mg/kg,p.o.で有意に抑制した.しかしHaffnher法では鎮痛作用は認められなかった.rotarod法においてMY103は30mg/kg,p.o.以上の投与量で陽性作用を示したが,筋弛緩作用は全く示さなかった.m-amphetaminc群毒性に対しMY103は100mg/kg,p.o.以上で致死保護作用を示した.またMY103 10mg/kg,i.p.以上の比較的高用量をラットに投与すると,catalepsyが惹起され,この作用はatropineで抑制された.ラットの条件回避反応は,MY103 300mg/kg,p.o.では何の影響も受けず,ウサギ自発脳波も300mg/kg,p.o.で何ら変化は認められなかった.また脊髄反射にも影響を及ぼさなかった.一方,MY103をラットに連続投与すると,条件回避反応は100mg/kg/day,p.o.以上の投与2日目から有意に抑制された.直腸温ならびにpentetrazolけいれんは,MY103の連続投与によって何の影響も受けなかったが,thiopentalの睡眠持続時間は用量依存性に延長された.しかしこの睡眠増強作用はMY103の休薬によって消失した.他方,末梢神経系に対しMY103は,局所刺激を伴なう表面麻酔作用を示したが,生体位での坐骨神経一筋標本には何の影響も与えなかった.以上の事実から,MY103の中枢ならびに末梢神経系に及ぼす作用は弱く,連続投与時に認められた中枢神経系の抑制作用も,その休薬によって消失することが明らかとなった.
著者
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渡辺 俊明
三菱化成工業 総研
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西 広吉
三菱油化薬品(株)研究所薬理グループ
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西 広吉
三菱化成工業 総研
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渡辺 俊明
三菱油化薬品(株)研究所薬理グループ
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森 元邦
三菱油化薬品(株)研究所薬理グループ
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西 広吉
三菱油化薬品(株)研究所
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