イソプレニルフラボノイド系抗潰瘍物質に関する基礎的研究 : 第1報広豆根成分イソプレニルカルコンの抗潰瘍活性
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概要
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広豆根の抽出画分およびそれより単離したisoprenyl chalconeのsophoradinとその異性体でflavanone体のsophoranoneの抗潰瘍作用および胃液分泌作用を検討した.広豆根の抽出画分のうち幽門結紮潰瘍およびストレス潰瘍実験で最も強い抗潰瘍作用を示した画分は脂溶性酸性画分[C-2]であった.画分[C-2]より単離したsophoradinとsophoranoneも抗潰瘍作用を示した.画分[C-2],sophoradinおよびsophoranoneの抗潰瘍活性はsophoradinが最も強く,sophoranoneと画分[C-2]は同程度の効果であった.つぎに,sophoradinとsophoranoneの胃液分泌作用を幽門結紮法にて検討した.Sophoradinおよびsophoranoneはともに胃液分泌量を有意に抑制した.遊離酸度および総酸度に対してsophoradinは有意の減少を示したが,sophoranoneは何ら影響をおよぼさなかった.Sophoradinについては急性胃痩管法にて各種の胃酸分泌刺激剤に対する作用を検討した.Sophoradinはtetragastrinおよびinsulinによる胃酸分泌刺激に対し抑制の傾向を示したが,methacholineおよびhistamineの刺激に対しては何ら影響をおよぼきなかった.以上より,sophoradinは強い抗潰瘍作用と胃酸分泌抑制作用を有することが明らかになった.
著者
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笹島 道忠
大正製薬株式会社総合研究所
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田中 一郎
大正製薬総合研
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笹島 道忠
大正製薬総合研究所薬理研究室
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中根 貞雄
大正製薬総合研究所
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佐直 隆一
大正製薬総合研究所
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早乙女 秀雄
大正製薬総合研究所
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畑山 勝男
大正製薬総合研究所
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京極 和旭
大正製薬総合研究所
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笹島 道忠
大正製薬総合研究所
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田中 一郎
大正製薬総合研究所
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