PCB連続投与のラットに及ぼす影響と投与中止後の回復
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概要
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カネクロール500(KC-500,55%の塩素を含むPCB混合物)を週2回,15週間,ラットに1,10,100mg/kgの用量で経口投与し,その毒性学的,生化学的変化を検討した.その後投与を中止して15週間動物を観察し,回復度を調べた.KC-500を15週間投与して得られた血液学的・血清生化学的変化は,主に100mg/kg投与群でみられ,10mg/kg投与群ではわずかにヘモグロビン含量の低下を認めるにとどまった.他方,肝ミクロゾームに及ぼす影響はより鋭敏で,pentobarbltalによる睡眠時間は,KC-500投与期間中1mg/kgの投与群にあっても対照群より有意に減少した.肝ミクロゾームの他の変化は,薬物代謝に関与する電子伝達系の成分の含量・活性の増大ならびglucose 6-phosphatase活性の低下であった.さらに病理組織学的には,壊死を伴なった肝細胞変化がKC-500の投与量を増すごとに強くなった.投与を中止して15週間経過したラットにあっては,種々の血液学的,生化学的,病理学的変化は回復傾向を示すが,投与量の多い100mg/kg群では,その回復は遅れる結果であった.組織中のPCB濃度は脂肪組織に最も高く,次いで肝臓の順となる.KC-500の投与を中止すると組織中のPCB濃度は減少するが,その減少割合は肝臓あるいは脂肪組織では緩やかで,また脂肪組織では投与量の多いほど残留度は高くなる.さらにKC-500中に含まれるPCBのなかには,肝ミクロゾーム酵素誘導作用により代謝を受けやすいと考えられる成分がみられ,今後PCBの代謝と毒性の関係を究明することが必要であると述べた.
著者
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島田 力
大阪府立公衆衛生研究所
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島田 力
大阪府公衛研
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岩上 正蔵
大阪府立公衆衛生研究所
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布浦 由樹
大阪府立公衆衛生研究所
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水田 泰子
大阪府立公衆衛生研究所
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北中 英良
大阪府立公衆衛生研究所
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