ラット慢性潰瘍モデルにおけるZ-103の創傷治癒促進作用
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概要
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Z-103の胃潰瘍部における創傷治癒促進作用をより明らかにするため,ラット酢酸潰瘍モデル(AAU)および鉄-アスコルビン酸潰瘍モデル(FAU)に対する効果について,潰瘍面積,潰瘍部ヒドロキシプロリン(Hyp)量ならびに潰瘍部DNA量を指標として検討を行った.AAUおよびFAUの潰瘍面積は潰瘍作製後4日目をピークとして経日的に縮小したが,14日目においても潰瘍は完治していなかった.潰瘍部Hyp量は両モデルとも潰瘍作製後4および7日目において非潰瘍部より低下し,11日目以降において非潰瘍部より増加した.潰瘍部DNA量は,FAUでは潰瘍作製後7日目で非潰瘍部より著明に低下したのに対し,AAUでは潰瘍部DNA量の低下は見られなかった.しかし,両モデルにおいて潰瘍作製後11日目の潰瘍部DNA量は非潰瘍部より著明に増加し,14日目以降では正常値まで復した.両モデルに対し,Z-103 3mg/kgおよびソルコセリル5ml/kgの投与は潰瘍作製後14日目における潰瘍面積を著明に縮小し,潰瘍作製後7日目における潰瘍部Hyp量を対照群に対して有意に増加させた.潰瘍部Hyp量に対するZ-103(1〜10mg/kg)の増加作用は両モデルとも用量依存的なものであった.さらに,潰瘍部DNA量は,Z-103 3mg/kgの投与によりAAUでは潰瘍作製後4日目に,FAUでは潰瘍作製後7日目に増加し,正常値まで回復する日数も対照群に比べ短縮していた.以上のことから,AAUおよびFAUの潰瘍部では潰瘍作製後4〜7日目まで既存組織の異化反応が起こり,以後細胞増殖や結合織の増生が行われ,潰瘍が治癒していくものと推察された.また,Z-103の作用機序として創傷治癒促進作用は重要な要因である可能性が示唆された.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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森田 仁
ゼリア新薬工業(株)中央研究所
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堀 裕子
ゼリア新薬工業(株)中央研究所
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瀬戸 孝一
ゼリア新薬工業(株)中央研究所
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瀬戸 孝一
ゼリア新薬工業
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米田 智幸
ゼリア新薬工業(株)中央研究所
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清木 雅雄
ゼリア新薬工業株式会社中央研究所
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会田 浩幸
ゼリア新薬工業(株)中央研究所
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田頭 栄治郎
ゼリア新薬工業(株)中央研究所
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会田 浩幸
ゼリア新薬工業 中研
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武政 俊彦
ゼリア新薬工業(株)中央研究所
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茶木 亨二
ゼリア新薬工業(株)中央研究所
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山田 広子
ゼリア新薬工業(株)中央研究所
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会田 浩幸
ゼリア新薬工業 (株) 中央研究所
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武政 俊彦
ゼリア新薬工業 (株) 中央研究所
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米田 智幸
ゼリア新薬工業 (株) 中央研究所
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茶木 亨二
ゼリア新薬工業 (株) 中央研究所
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堀 裕子
ゼリア新薬工業 (株) 中央研究所
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森田 仁
ゼリア新薬工業 (株) 中央研究所
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田頭 栄治郎
ゼリア新薬工業 (株) 中央研究所
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清木 雅雄
ゼリア新薬工業(株)中央研究所
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清木 雅雄
ゼリア新薬工業 (株) 中央研究所
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