NC系マウスの自然発症痒み関連行動における一酸化窒素の関与
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
アトピー性皮膚炎(AD)の動物モデルと考えられているNC系マウスをconventional環境下で飼育すると,自然発症的に掻き動作を惹起する。この行動は実験者の方へ注意を向けさせることや,オピオイド拮抗薬のnaltrexone (1 mg/kg)の皮下投与により抑制され,ヒトの痒みに類似した性質を示すことから,痒みに関連した行動であると考えられる。一酸化窒素(NO)合成酵素のN<SUP>G</SUP>-nitro-L-arginine methyl ester (L-NAME, 10 mg/kg)の静脈内投与はエナンチオマーのD-NAME (10 mg/kg)や生理食塩水投与群と比較して有意にNC系マウスの掻痒反応を抑制した。マイクロダイアリシス法によりNC系マウスが掻き動作を惹起する吻側背部,及び掻き動作を惹起しない尾側背部の皮膚内NO濃度を測定したところ,吻側背部において尾側背部に比べ著しいNO濃度の増加がみられた。さらに,L-NAME (10 mg/kg, i.v.)はNC系マウスの吻側背部におけるNO濃度の増加を抑制した。これらの結果は,NC系マウスの自然発症掻痒反応の発症又は増悪にNOが関与することを示唆する。NC系マウスがADの動物モデルであることを考え合わせると,NOがAD患者の痒み治療の新しい標的となる可能性が推測される。
著者
-
野島 浩史
富山医科薬科大学薬学部薬品作用学教室
-
安東 嗣修
富山大学 大学院医学薬学研究部 応用薬理学研究室21世紀coeプログラム
-
山口 朋美
富山医薬大・医・和漢薬研
-
安東 嗣修
富山医科薬科大学・薬・薬品作用
-
山口 朋美
富山医科薬科大学薬学部薬品作用学
-
倉石 泰
富山医科薬科大学・薬・薬品作用学
-
野島 浩史
富山医科薬科大学
-
九十九 透仁
富山医科薬科大学薬学部薬品作用学教室
-
安東 嗣修
富山医科薬科大学薬学部薬品作用学教室
-
山口 朋美
富山医科薬科大学薬学部薬品作用学教室
-
倉石 泰
富山医科薬科大学薬学部薬品作用学教室
-
倉石 泰
富山医科薬科大学 薬学部 薬品作用学
関連論文
- P-2 ギムネマ葉含有成分 Gymnemic acid IV の血糖下降作用
- 担癌マウスの癌組織抽出物により惹起される痛覚過敏反応
- 癌細胞移植マウスにおける機械刺激に対する疼痛反応
- トウガラシエキス含有貼付剤の皮膚枝神経活動と皮膚温に対する影響
- 4.マウスにおける蚊アレルギー性掻痒反応に対するアゼラスチンの抑制作用(58回日本衛生動物学会西日本支部大会講演要旨)
- C-025(30) 芍薬甘草湯の鎮痛鎮痙作用 : 甘草成分イソリクイリチゲニンによるマウス腸管収縮抑制
- セアカゴケグモ(Latrodectus hasseltii)の毒腺抽出物のマウスに対する発痛および全身性作用
- 2 蚊刺による痒み
- 神経痛モデルマウスにおける [Asu^]eel calcitonin の上行性セロトニン神経系を介する抗侵害受容作用
- 12 蚊刺によるアレルギー性掻痒症の動物モデルと掻痒発生機序
- マウス後肢へのセロトニン投与により惹起される biting 動作は痒み関連反応か?
- 30B-19 麻黄附子細辛湯の抗侵害受容作用における迷走神経の関与
- NC マウスに寄生するケモチダニの一種 Myobia sp. について(第 5 回日本ダニ学会大会講演要旨)
- 神経型ニコチン性アセチルコリン受容体のCa^を介した脱感作機能の解明
- マウス心房筋におけるムスカリン受容体M_1サブタイプの電気生理学的機能
- 筋型と共存する神経型ニコチン性アセチルコリン受容体のCa^依存性脱感作機構
- 1 痒みの基礎的知識と動物モデル(イブニングシンポジウム4 痒みへの包括的アプローチ,第18回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 種々の神経因性疼痛モデル
- 2 動物モデルを用いたかゆみとその薬物療法の評価(6 かゆみの薬物療法, 第55回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- かゆみの受容メカニズム
- 2.虫刺症の痛みと痒み
- 神経・痒みからみたアトピー性皮膚炎
- 慢性疼痛とは:基礎的見地から--動物モデルからみた慢性痛 (〔2002年〕10月第1土曜特集 慢性疼痛--病態と治療法) -- (基礎から考える慢性疼痛の病態)
- かゆみのメディエータ
- 痒みの動物モデル(痒みのメカニズムとその対策)
- 痛み, 発熱とプロスタノイド
- 痒み解析の実験的アプローチ
- 2 ヒトと動物の痒みのメディエーター (16 痒みの発症機序と治療)
- 炎症性および反復低温ストレス性痛覚過感受性状態におけるラット腰髄切片からのカプサイシン誘発グルタミン酸遊離の部位特異的増加 : 画像解析による検討
- かゆみの動物実験法
- P-60 マウスにおけるcompound48/80およびsubstance P誘発痒み関連動作への野菊花および金銀花抽出物の影響(皮膚,一般演題ポスター,第24回和漢医薬学会大会 和漢薬の複雑さ-経験知と科学知-)
- 動物モデルからみたアトピー性皮膚炎の痒みのメカニズム (特集 アレルギー性掻痒の基礎と臨床)
- 単純ヘルペスウイルス感染によるマウスの疼痛反応と diclofenac および acyclovir の効果
- 皮膚における痒みの発生メカニズム : ケラチノサイトの産生する新規痒み因子と痒み増強因子
- Morphine の大槽内注射はマウスに痒みを惹起するか?
- アトピー性皮膚炎と表皮内神経伸展 : セマフォリン3A
- 19. ラット腸管におけるcapsaicin(vanilloid)receptor(VR1)の局在 : 生理機能との関連で
- 全身性反復投与によるカルシトニンの抗侵害受容作用への背側縫線核セロトニン神経系の関与
- ホルマリン誘発痛覚過敏ラットにおけるカルシトニンの抗侵害受容作用とモノアミン神経毒の脳室内注射の影響
- 痛みと痒み : その内因性因子の共通性と相違点
- NC系マウスの自然発症痒み関連行動における一酸化窒素の関与
- 814 血流シミュレーション : Casson式に従う流体のGTTコードによる流動数値解析(GS-2 呼吸・血液)