かゆみの動物実験法
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概要
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マウスにおいて後肢による掻き動作をかゆみの指標とすることが可能であることが示されて以来,種々のかゆみの動物モデルが報告されてきた.内因性の起痒物質としてヒスタミン,セロトニン,サブスタンスPなどがよく用いられ,これらを吻側背部に皮内注射すると後肢による掻き動作が引き起こされるが,ヒスタミンが明らかな掻き動作を引き起こすマウスの系統は限られる.即時型アレルギーのかゆみのマウスモデルとして,受身皮膚アナフィラキシーと蚊刺アレルギーがあるが,これらのかゆみの発生機序は異なる.接触性皮膚炎のかゆみのマウスモデルではハプテンが反復塗布される.乾皮症のかゆみのマウスモデルを作製するには,脱脂処理の直後に水で処理することが必要であり,角質層から水溶性の天然保湿因子の喪失がかゆみの一因であると考えられる.アトピー性皮膚炎のかゆみに関しては,NC系マウス,DS-Nh系マウス,ヘアレスマウスなど特殊な系統のマウスが用いられる.掻き動作の計測は,ビデオ撮影による観察,画像解析,磁場変化検出などで行われる.それぞれに一長一短があるので,実験目的に応じて使い分ける必要がある.かゆみに関係した掻き動作を計測するには,かゆみが心理・精神的な影響を非常に受けやすい感覚であることを考慮することが大切である.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2007-11-01
著者
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安東 嗣修
富山大学 大学院医学薬学研究部 応用薬理学研究室21世紀coeプログラム
-
倉石 泰
富山大学 薬学部 薬品作用学
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倉石 泰
富山大学 大学院医学薬学研究部 応用薬理学研究室21世紀coeプログラム
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倉石 泰
富山大学 大学院医学薬学研究部 応用薬理学研究室
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安東 嗣修
富山大学 大学院医学薬学研究部応用薬理学
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