種々の神経因性疼痛モデル
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
神経因性疼痛は長期間持続する難治性の疼痛である.持続的な痛みは患者のQuality of Lifeを著しく低下させることから,痛み自体が治療の対象となる.しかし,従来の鎮痛薬では疼痛を十分にコントロールすることは難しい.また,同一症状の疼痛でも疼痛発症機序は多様であり,同一の治療法の効果は一様ではない.神経因性疼痛モデルは数多く報告されており,末梢神経損傷するタイプ,病態特異的タイプ,化学療法薬誘発タイプに分けられる.ヒト同様,モデルによって疼痛発症機序に違いがあり,薬物の効果も大きく異なる.絞扼性神経損傷(chronic constriction injury)モデル,坐骨神経部分損傷(partial sciatic nerve ligation)モデル,脊髄神経結紮損傷(spinal nerve ligation)モデルは,いずれも末梢神経損傷タイプの神経因性疼痛モデルであるが,疼痛の種類によっては発現のしやすさがモデル間で異なり,交感神経依存性やモルヒネ感受性にもモデル間で明らかな違いがある.神経栄養因子は3つのモデル全てで関与が報告されているが,substance P―neurokinin受容体系とglutamate―N-methyl-D-aspartate受容体系は,モデルによって,また疼痛の種類によって関与の程度が大きく異なる.各々のモデルでの疼痛機序は異なると考えることが重要であり,様々な神経因性疼痛のモデルで検討すること,そして,このようなモデル間の差がどのようにして生じるのかを明らかにすることが非常に重要である.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2006-03-01
著者
関連論文
- P-33 痒みモデルマウスを用いた漢方方剤の抗そう痒作用の検討
- 担癌マウスの癌組織抽出物により惹起される痛覚過敏反応
- 癌細胞移植マウスにおける機械刺激に対する疼痛反応
- 癌性疼痛モデルマウスにおけるmorphineの鎮痛効果と癌細胞増殖・転移抑制効果
- トウガラシエキス含有貼付剤の皮膚枝神経活動と皮膚温に対する影響
- 4.マウスにおける蚊アレルギー性掻痒反応に対するアゼラスチンの抑制作用(58回日本衛生動物学会西日本支部大会講演要旨)
- C-025(30) 芍薬甘草湯の鎮痛鎮痙作用 : 甘草成分イソリクイリチゲニンによるマウス腸管収縮抑制
- セアカゴケグモ(Latrodectus hasseltii)の毒腺抽出物のマウスに対する発痛および全身性作用
- 2 蚊刺による痒み
- 神経痛モデルマウスにおける [Asu^]eel calcitonin の上行性セロトニン神経系を介する抗侵害受容作用
- 12 蚊刺によるアレルギー性掻痒症の動物モデルと掻痒発生機序
- マウス後肢へのセロトニン投与により惹起される biting 動作は痒み関連反応か?
- 30B-19 麻黄附子細辛湯の抗侵害受容作用における迷走神経の関与
- NC マウスに寄生するケモチダニの一種 Myobia sp. について(第 5 回日本ダニ学会大会講演要旨)
- B35 日本に上陸したセアカゴケグモについて (6) : 毒腺抽出物の発痛作用
- 1 痒みの基礎的知識と動物モデル(イブニングシンポジウム4 痒みへの包括的アプローチ,第18回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 種々の神経因性疼痛モデル
- 2 動物モデルを用いたかゆみとその薬物療法の評価(6 かゆみの薬物療法, 第55回日本アレルギー学会秋季学術大会)
- かゆみの受容メカニズム
- プロスタグランジンと疼痛修飾--新規鎮痛薬の開発に向けて (第5土曜特集 痛みシグナルの制御機構と最新治療エビデンス) -- (疼痛の生理機構と分子メカニズム)
- 2.虫刺症の痛みと痒み
- 神経・痒みからみたアトピー性皮膚炎
- 慢性疼痛とは:基礎的見地から--動物モデルからみた慢性痛 (〔2002年〕10月第1土曜特集 慢性疼痛--病態と治療法) -- (基礎から考える慢性疼痛の病態)
- かゆみのメカニズム (講座 アレルギー症候へのアプローチ)
- かゆみのメディエータ
- 痒みの動物モデル(痒みのメカニズムとその対策)
- 痛み, 発熱とプロスタノイド
- オピオイドと中枢性かゆみ (日本麻酔学会第47回大会講演特集号) -- (学術講演)
- プロスタグランジンと痛覚修飾 (12月第1土曜特集 痛みとその制御機構--分子メカニズムと治療の最前線) -- (疼痛の生理機構と分子メカニズム)
- 神経障害によるアロディニアにおける脊髄の prostaglandin E_2 とEP3 受容体の関与
- 痒み解析の実験的アプローチ
- Gabapentin(ガバペンチン):神経痛の特効薬となるか?
- 2 ヒトと動物の痒みのメディエーター (16 痒みの発症機序と治療)
- 炎症性および反復低温ストレス性痛覚過感受性状態におけるラット腰髄切片からのカプサイシン誘発グルタミン酸遊離の部位特異的増加 : 画像解析による検討
- 薬理学と高校の理科教育
- EVS9-1 かゆみのメカニズム(かゆみのメカニズムと対策, 第19回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 癌性疼痛のメカニズムと治療 (第1土曜特集 難治性疼痛と闘う--研究と治療の最前線) -- (痛み各論UP to Date)
- かゆみの動物実験法
- 単純ヘルペスウイルス感染によるマウスの疼痛反応と diclofenac および acyclovir の効果
- Morphine の大槽内注射はマウスに痒みを惹起するか?
- 19. ラット腸管におけるcapsaicin(vanilloid)receptor(VR1)の局在 : 生理機能との関連で
- 全身性反復投与によるカルシトニンの抗侵害受容作用への背側縫線核セロトニン神経系の関与
- ホルマリン誘発痛覚過敏ラットにおけるカルシトニンの抗侵害受容作用とモノアミン神経毒の脳室内注射の影響
- 奨励賞受賞 高崎一朗氏の業績
- 痛みと痒み : その内因性因子の共通性と相違点
- NC系マウスの自然発症痒み関連行動における一酸化窒素の関与
- 痒みの発生機序と鎮痒薬の薬理