血液透析用血液凝固阻止剤としてのparnaparin sodium(LHG)の効果―イヌ血液透析モデルにおける単回投与法の検討―
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概要
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イヌ血液透析モデルにおいて,parnaparin sodium(LHG)50,100および200IU/kg,ヘパリンナトリウム(ヘパリン)100および200IU/kgを開始時単回投与法にて投与して血液透析を施行した.:LHGは投与量に依存した血液凝固阻止効果を発現し,同一抗Xa活性のヘパリンに比して長時間の透析継続が可能であった.LHG投与による血漿中抗Xa活性の消失の半減期は,同一抗Xa活性のヘパリンに比して長かった.LIHG投与時の活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は,用量に依存して延長したが,ヘパリン投与時に比して極めて軽度であり,APTTが投与前値に復してもLHGの血液凝固阻止効果が継続した.LHG投与により,全血Xa凝固時間(XCT)および血漿Xa凝固時間(PXCT)はAPTTに比して著明に延長し,開始前値以上に延長している間は透析を継続することが可能であった.したがって,XCTおよびPXCTはLHGのモニター法として適切であることが確認された.ヘパリン投与により,著明なAPTTの延長が認められ,ほとんどの例がAPTTが前値に復した時点で透析の継続が不可能となった.しかし,その時点で,XCTおよびPXCTは前値よりも延長している例が認められた.したがって,ヘパリンにはAPTTが良いモニターと考えられた.tissue factor pathway inhibitor(TFPI)活性は,LHGおよびヘパリンの用量に依存して上昇し,TFPI活性のピーク値に両薬剤間で差は認められなかった.しかし,8時間の透析継続が可能であったLHG100および200IU/kg群ではTFPI活性の上昇が持続する傾向が認められ,ヘパリンに比してLHGで透析がより長時間継続できたのは,アンチトロンビンIII依存性の機序のみならず,TFPIを介する機序も関係している可能性が示唆された.
著者
-
越川 昭三
昭和大学藤が丘病院
-
衣笠 えり子
昭和大学藤が丘病院内科
-
秋澤 忠男
昭和大学藤が丘病院内科
-
杉山 隆之
清水製薬(株)研究開発本部・研究部
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秋澤 忠男
昭和大学藤が丘病院
-
越川 昭三
昭和大学藤が丘病院内科
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片井 努
清水製薬(株)研究開発本部研究部
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興津 美佐子
清水製薬(株)研究開発本部研究部
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大多和 正浩
清水製薬(株)研究開発本部研究部
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児玉 岳久
清水製薬(株)研究開発本部研究部
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金森 直明
昭和大学藤が丘病院内科
-
杉山 隆之
清水製薬(株)研究開発本部研究部
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