鶏肉蛋白質と大豆蛋白質の熱安定性と加熱形成ゲルに及ぼす各種試薬の影響
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概要
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鶏肉蛋白質と大豆蛋白質の熱安定性に及ぼす種々の試薬の影響を示差走査熱量計(DSC)により測定し,また加熱形成ゲルの物理的性質に及ぼす影響を検討した.さらにDSCの結果と加熱形成ゲルの物理的性質の関係も考察した.鶏肉蛋白質の熱安定性に及ぼすリン酸塩,NaClおよびNaSCNなどの塩類の影響は,大豆蛋白質に及ぼす影響とかなり違っていた.NaClは,鶏肉蛋白質の変性温度(Tmax)を低下させたが大豆蛋白質のTmaxは上昇した.しかし,これらの蛋白質に対する塩類の影響度合いの順序はHofmeisterの離液順列にしたがった.この結果は疎水的相互作用が両蛋白質の熱安定性に関係することを示唆した.プロピレングライコール(PG)は両蛋白質のTmaxを低下させ,疎水的相互作用が両蛋白質の熱安定性に関連している可能性を高めた.ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)はTmaxの大きな変化なしに両蛋白質のDSCサーモグラフのピーク面積を減少させた.尿素は両蛋白質のピーク面積を減少させ,高濃度にするとすべてのピークが消滅した.両蛋白質のDSCサーモグラフに及ぼす2-メルカプトエタノールの影響は少なかった.塩類は鶏肉蛋白質の加熱ゲルの強度を増加させたが,大豆蛋白質はその強度が減少した.PGおよびSDSは両蛋白質の加熱ゲルの強度をともに増加させたが,ただPGの影響度合いは少なかった.蛋白質の加熱形成ゲルの物理的性質は蛋白質のTmaxとある程度関係があった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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