細菌感染状況が試料採取時刻による乳汁の乳房炎諸指標の変動に及ぼす影響
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概要
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任意の時刻に採取した乳汁試料によって各分房の乳房炎の程度を把握する方法を確立するために,細菌感染状況の異なる分房を用いて試料の採取時刻による乳房炎諸指標の変動を検討した.その結果,(1) 体細胞数は,非感染分房がもっとも低く,次に2次性病原菌感染分房がそれに続き,1次性病原菌感染分房がもっとも高かったが,細菌感染状況に関係なく搾乳後に増加し,搾乳後2,4,6および8時間には搾乳時の前しぼり乳のそれぞれ4.2(3.8-4.6),3.5(2.6-4.4),2.5(2.1-2.9)および1.8(1.5-2.1)倍(括弧内は95%信頼限界)となることが示された.(2) 体細胞のうち好中球等の血液由来の細胞が占める割合は,非感染分房については搾乳時に低いが搾乳後数時間以内においては60%を超えるようになり,その後次の搾乳時まで次第に減少した.一方,1次性病原菌感染分房については,採取時刻に関係なくつねにその割合が高かった.(3) 電気伝導度に関しては,細菌感染状況および試料採取時刻による差異は認められなかった.(4) N-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAGase)活性は,搾乳時よりも搾乳後数時間を経過した時の方が細菌感染状況による差異が明瞭になった.以上の結果から,搾乳後数時間以内に採取した試料によって乳房の細菌感染状況を判断する場合には,体細胞数は通常の搾乳時における値より増加することを考慮すること,および体細胞数だけでなくNAGase活性も含めて判断することにより,より正確に判定できることが示された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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