ブタミトコンドリアDNAのクローニングとプローブとしての有効性の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ブタ(ランドレース種)の新鮮な肝臓からミトコンドリァDNA(mtDNA)を精製し,このDNAの3種類のEco RI切断片(〜8.5Kb,〜5Kb,〜3Kb)をそれぞれプラスミドベクターpBluescript II SK+のEco RIサイトにクローニングした.このクローニングして得た3種のmtDNA(pLmt8.5, pLmt5, pLmt3)を混合し,制限酵素Eco RIで切断後,[α-32P]dATPを用いたランダムプライマー法で標識してプローブとし,ブタ(ランドレース種,梅山豚)およびウシ,ヤギ,ヒツジ,ウマ,ウサギ,ニワトリ,ヒトの白血球全DNA(核DNAおよびmtDNAの両方を含む)を用いたサザン•ハイブリダイゼーション法によりmtDNAの検出および,その検出限界について検討した.20mlの血液からは約500〜1,500μgの白血球全DNAを回収できた.この白血球全DNAを用いたブタmtDNAの検出は本プローブを用いると極めて容易であり,ブタ白血球全DNA0.5〜1μg以上でmtDNAの検出が可能であった.またブタにおけるヘテロプラスミー判定の予備的検討を目的として,mtDNAのRFLPが異なるランドレース種と梅山豚2品種の白血球由来全DNAを総量5μg,9段階に量比を変えて混合しサザンハイブリダイズさせたとにろ,全量のmtDNAの5〜10%以上で2品種由来mtDNAのバンドの双方を検出できた.さらに本プローブの他の動物とのハイブリダイズの程度は肉眼ではウシ,ヤギ,ウマ,ヒッジで比較的高く充分バンドの判定が可能だったが,ウサギ,ニワトリ,ヒトで低かった.またハイブリダイズの程度を波長633nmのデンシトメトリーにより検討したが,ブタを100%とした時にウシ,ヤギ,ウマ,ヒッジでは7〜28%であり,ウサギ,ニワトリ,ヒトでは2%以下であった.従って本プローブは,ウシ,ヤギ,ウマ,ヒッジのmtDNA型検出用プロープとしても有効であることがわかった.なお非アイソトープ検出法の1つであるECL (enhanced chemiluminescence)法によりブタmtDNA型の検出を試みたところ,おおむねRIと同程度の感度が得られた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
-
武田 久美子
農林水産省畜産試験場
-
大西 彰
農林水産省畜産試験場
-
石田 信繁
日本中央競馬会競走馬総合研究所生命科学研究室
-
石田 信繁
日本中央競馬会競走馬総合研究所
-
犬丸 茂樹
農林水産省家畜衛生試験場製剤研究部
-
小松 正憲
農林水産省畜産試験場
-
犬丸 茂樹
農林水産省家畜衛生試験場
-
三上 仁志
農林水産省畜産試験場
-
犬丸 茂樹
農林水産省畜産試験場
-
三上 仁志
農林水産省北海道農業試験場
関連論文
- 黒毛和種・褐毛和種・ホルスタイン種における, ウシミトコンドリア DNA・D-loop 領域内変異
- 7/21ロバートソン型転座を保有する黒毛和種種雄牛の精液性状
- 15座位のマイクロサテライトを使用したサラブレッド種における親子鑑定システムの構築(公衆衛生学:)
- Gibbs Sampling による競走馬における上部気道疾患の遺伝率の推定
- 最大下運動時のサラブレッド競走馬の心拍数における性別と競走成績の影響
- 321.心拍数・乳酸濃度を用いた競走馬のコンディションや運動能力の把握(トレーニング)
- 472.トレッドミルの傾斜の違いが馬浅指屈腱にかかる力に及ぼす影響について(【バイオメカニクス】)
- 馬クロモグラニンA遺伝子のクローニングおよび内分泌腺と外分泌腺における発現
- SRYおよびアメロゲニン遺伝子の同時増幅による性判別(短報)
- ウマ精巣における直鎖状のSRY転写産物(短報)
- 126.サラブレッドにおける繰り返し高強度運動時の酸素摂取動態と筋線維動員パターンの関係(呼吸・循環)
- ウマ属におけるD4ドーパミン受容体遺伝子(DRD4)の塩基配列決定と多様性
- ウマ胎子胎盤複合系におけるステロイド合成酵素の発現
- ウマ(サラブレッド)マイオスタチンcDNAのクローニングと血清中マイオスタチン前駆タンパク質の検出
- 豚インターロイキン2受容体α鎖遺伝子のゲノム解析および遺伝子座の同定
- In vitroおよびin vivoにおける組換えウシ型顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子のウシ好中球殺菌機能に及ぼす効果(短報)
- 組換えニワトリstem cell factorの精製とその生物活性
- RT-PCR-RFLP法を用いた各種ブタ品種におけるSLAクラスII遺伝子のDNAタイピング
- RT-PCR-RFLP法を用いた各種ブタ品種におけるSLAクラスII遺伝子のDNAタイピング
- LPSとサイトカインで刺激されたウマ培養細胞におけるNO産生
- ウマ抗酸化酵素チオレドキシン遺伝子の単離と組織での発現
- オールアウトトレッドミル運動負荷時における血清中尿酸値とアラントイン値の変動
- 出産時における母馬と子馬の血漿中のス-パ-オキシド消去活性の変化
- 第51回日本体力医学会
- PCR-SSP法によるブタSLAクラスII DRB1遺伝子のDNAタイピング
- RT-PCR-RFLP法を用いたブタ主要組織適合遺伝子複合体(SLA)クラスII遺伝子のDNAタイピング
- 競走馬の運動および輸送負荷時における酸化ストレス
- 解説記事 ウマの遺伝性疾患
- コーヒーブレイク ウマの品種
- コーヒーブレイク ウマの進化
- 日本における馬の遺伝子研究の現状 (特集 スポーツ科学と馬)
- 競走馬における心電図R-R間隔変動(CV値)とリラックス状態との関係について
- 電子スピン共鳴装置
- ブタミトコンドリアDNAのクロ-ニングとプロ-ブとしての有効性の検討
- マウスの繁殖能力に発現する父性ヘテローシス
- マウスのミトコンドリア呼吸鎖酵素の遺伝様式
- 2つの遺伝的に異なる1代雑種胚から作られたキメラマウスの発育
- マウスの体重におけるキメラ性ヘテローシス
- マウスのもどし交雑種における標識遺伝子座のヘテロ接合性と産子数との関係
- ランドレース豚の産肉形質の選抜の経過に伴う多型遺伝子頻度の推移
- ミトコンドリアDNA•RFLPの細胞質マーカーとしての有効性
- 体細胞クローン豚の誕生
- ブタミトコンドリアDNAのクローニングとプローブとしての有効性の検討
- 家畜•家禽の育種に関する研究の動向 : I. 遺伝子操作関係
- マウスのチトクロムc酸化酵素活性に発現するヘテロー シスとミトコンドリアDNA変異との関連性
- 梅山豚のミトコンドリア呼吸鎖酵素活性
- 牛,山羊にみられる高カリウム型赤血球の遺伝子頻度と赤血球膜の特性
- 豚の育種改良の現状と今後の方向
- ブタ6日目胚の発育とフィーダー細胞への付着に及ぼすフィーダー細胞,β-メルカプトエタノールおよび子宮内膜細胞コンディションド•メディウムの影響
- 豚の赤血球酵素PHI,6PGD,PGMおよびADA型の出現頻度の品種間差異と親子鑑別における有効性
- リアノジンレセプターのミスセンス突然変異に由来する豚ハロセン遺伝子のDNA診断と遺伝的多様性の予測
- 豚血清中に検出された3種のアロタイプ
- 和牛およびヨーロッパ系牛9品種における牛乳カゼインハプロタイプ
- 血液型および蛋白質多型からみた黒毛和種2集団の遺伝的変異性
- 遺伝的疾患のゲノム解析
- ホルスタイン種とジャージー種における牛乳蛋白質型と乳量との関連性