フィンランド粘質発酵乳ビィーリ(viili)を構成する乳酸菌の特性
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概要
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フィンランドにおいて工業規模で生産販売されている粘質性発酵乳の凍結乾燥物の菌叢を解析したところ,高粘性を示した製品では,粘質物生産性株の出現頻度は約80%であった.これに対し,低粘性の製品では粘質物生産性株の出現頻度は6〜7%であった.高粘性を示した凍結乾燥物と低粘性を示した凍結乾燥物の2種類の製品について,詳細に乳酸菌叢を解析した.両製品より分離した粘質物生産性乳酸菌は,すべてがアルギニンテスト陰性,クレアチンテスト陰性のLactococcus lactis subsp. cremorisタイプの乳酸菌であった.高粘性を示した凍結乾燥物より分離した乳酸球菌には,酸生成能の早い株と遅い株が含まれており,約70%が酸生成が早い株であった.また,粘質物生産性乳酸菌の粘質物生産性能は継代20代以内に消失した.回転型粘度計により,粘質物生産性乳酸菌と,非生産性株培養物のヒステリシスループを求めたところ,ループの面積,見かけの降伏値とともに粘質物生産性株の培養物が高かった.以上の結果から,工業規模で生産されている粘質性発酵乳の菌叢は単純であることが明らかとなった.また,粘質物生産能は不安定な形質であったが,発酵乳の物性は,粘質物生産能を有する株と保持しない株との混合比により制御できることが示唆された.
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