チャ輪斑病菌Pestalotia longiseta SPEGAZZINI接種茶園における輪紋状病斑形成率,病斑上から分離される菌の種類,および病斑の大きさの品種間差異
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概要
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茶葉の成熟度を出来るだけ斉一にした茶園(55品種・系統)を供試し,Pestalotia longiseta分生子を可搬型摘採機により有傷接種をして,各品種のP.longisetaに対する感受性の差について検討した。感受性の差は,切断部より拡大した輪紋状病斑形成率,病斑の大きさおよび病斑上に観察される菌の種類により分類した。その結果,各品種のP.longisetaに対する感受性の差異は以下のように分類された。すなわち,(A)病斑形成率が高く,かつ大型病斑を形成し,P.longisetaに対してり病性である品種,(B)病斑形成率がAに次いで高く病斑は大型からやや大型で,ややり病性と考えられた品種,(C)病斑形成率がBと同等かそれより低く,病斑が小型で,圃場レベルではP.longisetaに対して抵抗性と判断された品種に区分できた。Aのグループにはさやまみどり,富士1号,やぶきた,大棟の4品種,Bのグループにはべにかおり,おくむさし,NN12,あさひ,おくゆたか,およびあさつゆ,Cのグループには比較的病斑形成率の高かったべにふじ,ゆたかみどりから,病斑形成が認められなかったほうりょく,静131までの45品種(系統を含む)が含まれた。なお,Bのグループのうち,おくむさし,NN12,あさひではP.longiseta単独で病斑が形成されていた比率が高かったが,べにかおり,おくゆたか,あさつゆでは1病斑内にP.longisetaとG.cingulataが混在していた比率が高く,P.longiseta感染後の病斑形成反応は品種より異なった。また,1病斑内にP.longisetaとGlomelella cingulataの両菌が混在する場合,P.longisetaは切断部付近に形成され,G.cingulataは病斑の周辺部に形成された。この傾向は病斑形成率の低い品種ほど顕著であった。このことから葉においてもP.longisetaによる病斑形成が刺激となってG.cingulataにより更に病斑が拡大する現象がみられることが明かとなった。<BR>以上の結果からP.longisetaの品種間差異を調査するにあたっては,圃場において接種試験を行う必要があるが,発病率,病斑の大きさだけでは不十分であり,病斑を形成している菌の種類についても観察する必要があると考えられる。
- 日本茶業技術協会の論文
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