飼料原料中のトリプトファンの定量法
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概要
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飼料原料中のトリプトファン(Try)の測定法について検討した.飼料の可溶化を目的として行うアルカリ加水分解時にTry破壊がおこる可能性が強いとの判断に基づいて,加水分解操作におけるTryの破壊を防ぐ方法を探索した.8種類の流通飼料原料と卵白リゾチーム,卵白アルブミンをTry含有試料とした.試料の加水分解には,L-ヒスチジン(L-His)と酢酸鉛を含むアルカリ溶液によって加水分解をおこなうSPIESの改良法を適用した.すなわち,10〜500mgの範囲で秤量した試料を5Nの水酸化ナトリウム溶液5mlに浸出させ,15分間真空ポンプで脱気処理を行い封管後115°C,16時間加水分解した.水酸化ナトリウム溶液は5.0ml中に250mgのL-Hisと500mgの酢酸鉛を含むものと,両者とも含まないものを用いて,L-Hisと酢酸鉛の効果を検討した.次のような結果が得られた.1. 試料中のTry含量値は,アルカリ溶液中にL-Hisと酢酸鉛を加えることによって約20%増加した.この増加効果は全ての試料において観察された.2. 試料に添加したL-Tryの平均回収率はL-Hisと酢酸鉛添加の場合,96.7%,両者とも無添加の場合,79.1%であった.このL-Try回収率の増加効果も,すべての試料において観察された.以上のことから,飼料のアルカリ加水分解時におこるTryの一部破壊は,アルカリ分解法としてSPIESの改良法を適用することによって,ほぼ完全に阻止できるものと結論した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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