都市近郊型の酪農,肥育牛経営におけるリグノセルロース系飼料資源の経済性について
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概要
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粗飼料が不足しやすい都市近郊的な流通飼料依存型酪農,肥育牛経営を対象として,リグノセルロース系飼料資源の経済性を線形計画法(LP)による適正価格で評価した.評価は次の2つのケース,すなわちケース1:乳用牛,泌乳前期(乳量30kg/日,体重600kg),およびケース2:肉用牛,肥育前期(増体量1.0kg/日,体重300kg)について行なった.また,リグノセルロース系飼料原料のモデルとして可消化養分総量(TDN)と粗せんい含量の異なる次の2種類のものを想定した.すなわち,モデル1:TDN 60%,粗せんい含量60%,モデル2:TDN 10%,粗せんい含量40%であった(以上,すべて乾物ベース).LPに入力する条件の中で飼料原料の価格については,特殊な場合を除いて変動のないものと仮定して,適切な制約条件の設定を試みた。検討の結果,制約条件として次に示した項目とその内容が適切なものと判断された.すなわち,1) 乾物量:上限のみ設定,2) TDN:下限のみ,3) 可消化タンパク質量(DCP):上,下限をもつ一定範囲,4) 粗せんい含量:下限のみ,5) 粗飼料給与量:下限のみ,6) カルシウム(Ca)量:一定範囲,7) リン(P)量:下限のみ,8) Ca/P:1.0〜2.0,9) ナトリウム(Na)量:一定範囲,10) 特定の飼料原料についての使用量規定であった.これらをもとにそれぞれのケースについて算出されたモデルの適正価格(円/kg)は次のとおりであった.すなわち,ケース1ではモデル1:72.8,モデル2:32.4,ケース2ではモデル1:56.9,モデル2:27.5であった.ここでTDNの適正価格はいずれのケースにおいても約55円/kgと評価された,ケース1,2におけるモデルの価格差は粗せんい要求量などに対する粗飼料の評価の違いにもとづくものであった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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