都井岬の御崎牧場の傾斜草地に形成された馬道の特性
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概要
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都井岬の御崎牧場は約300年間馬の放牧場として利用されてきた.この牧場の草地の急傾斜地にはほぼ等高線に沿って多数の馬道が形成されている.本研究は,傾斜地における馬の採食行動との関連から,この馬道の特性を明らかにする目的で行ったものである.馬道は傾斜角28度から51度の範囲の傾斜地に形成されており,馬道と馬道の間の斜面の草はほとんど全て採食されていた.馬道の巾は20cmから80cmの範囲で平均40cmであった.馬道間隔は扇山地区では60cmから220cmの範囲,小松ケ丘地区では100cmから250cmの範囲で,平均馬道間隔は両地区とも163cmであった.小松ケ丘地区では馬道間隔と傾斜角との間に有意の正の相関関係が認められた.御崎馬の平均体高を130cm,馬道の巾を40cmとして各傾斜角における馬道間隔の垂直成分と水平成分から,馬のき甲からすぐ上の馬道の外側端までの距離を算出した.その結果この距離と傾斜角との間に極めて高い負の相関関係が認められた.傾斜地における馬の採食行動及び斜面の採食状況の観察結果から,このき甲からすぐ上の馬道の外側端までの距離は,その傾斜角における採食可能な最大距離であると考えられた.よって傾斜地における採食可能な最大距離は傾斜角が大きくなる程短かくなることが明らかになった.以上の分析結果から馬道及びその間隔は,馬が傾斜地の草を採食利用する上で極めて合理的に形成されていると考えられた.
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