低酸度二等乳の原因と無機成分濃度との関連性について
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概要
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宮崎市近郊の規模と飼養形態を異にする3牧場を対象に,低酸度二等乳について調査し,牛乳の無機成分の面からその原因について検討した.1) 低酸度二等乳の発生状況は,牧場によっても,また個体によってもかなり相違した.2. 牛乳の無機成分は牧場間に差があるばかりでなく,個体間の差も大きかった.そこで各牧場のMg濃度の平均値を基準として搾乳牛を高Mg群と低Mg群に分類した.3. 高Mg群の牛乳の無機成分濃度はCa, P及びNaが高く,KとK/Na比が低かった.特にこの群の低酸度二等乳は正常乳に比較してCa濃度が高かった.一方乳房炎の判定規準であるCMTスコアとK/Na比との関係では,CMTスコア陽性の11例中8例のK/Na比が極めて低く,CMTスコア陰性の10例中9例のK/Na比が高い値であった.よってこれらの結果から高Mg群のうち特にK/Na比の低い牛乳を分泌する乳牛には,乳房炎などによって乳腺に障害があり,これが原因でCa濃度の高い低酸度二等乳が分泌されると推定した.4. 低Mg群の牛乳の無機成分濃度は全体としてほぼ正常範囲あったが,この群の低酸度二等乳にはMg濃度が極めて低く,K/Na比が比較的高いものが多く認められた.このような成分組成の低酸度二等乳は,給与粗飼料のMg含有率が低い場合に特に発生が多いこと,及び給与粗飼料のMg含有率が正常であって,Mg濃度の低い低酸度二等乳を連続して分泌する乳牛のいることが明らかになった.よってこれらの結果からMg濃度が低くK/Na比が高い低酸度二等乳の原因には,給与飼料のMg欠乏あるいはMgの代謝障害が関係していると推定された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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