成鶏における維持のためのフェニルアラニンの可欠の可能性
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概要
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Pheが窒素出納を正に維持するのに成鶏では可欠であることおよび先に短期間の出納試験で求めたアミノ酸要求量の正当性を長期間にわたって調べる目的で,白色レグホーン種の雄に1日体重kg当り30g(265mgN,120kcal gross energy/kg/日)または自由摂取させ体重および窒素出納への影響を調べた.Pheの可欠性が成鶏に特殊なものであることを示すため,白ネズミにもPhe欠乏飼料を給与し,次の結果を得た.1. Phe欠乏飼料を給与した鶏は3ヵ月間N出納を正に維持することができた.Phe含有飼料では鶏は体重を維持できたが,Phe欠乏飼料では平均4.4%減少した.2. 成鶏2羽にPhe欠乏飼料を1年間1日体重kg当り30g給与すると,N出納は正に維持されたが,体重は平均11.7%減少した.N出納試験終了後Phe欠乏飼料を自由摂取させると,2羽とも7ヵ月後に死亡した.3. Phe欠乏飼料を2羽の鶏に自由摂取させると成鶏は1年間に12.7%の体重を減少した.この間,鶏は軽い換羽をしたが,生え換った羽毛は貧弱であった.Phe含有飼料では体重は維持された.4. 白ネズミにPhe含有飼料を給与した場合には,摂取量も,体重も,窒素平衡も維持されたが,Phe欠乏飼料およびPhe-Tyr欠乏飼料を自由摂取させると,摂取量は減少し,それにともなって,体重も,窒素平衡も維持できず23日間にそれぞれ初体重の7.3%,8.8%を失なった.以上の成績は,先に短期間のN出納試験で求めた要求量の正当性を示すとともに,成鶏では,正のN出納の維持のためにはPheは可欠であり,体重の維持のためには必須であるが,白ネズミでは正のN出納の維持にも必須であることを示すものである.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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