個体別の正常乳における諸乳成分濃度の相互関係,とくに電解質濃度と乳脂率および全固形分含量との間のあきらかな負の相関関係について
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概要
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個体別の正常乳(前報と同じ)について,各乳成分間の量的相互関係を調べ,あらたにつぎのことが知られた.1) 脂肪率と,乳糖含量および蛋白質含量との間には,あきらかな正の相関(P<.001が認められた.2) Na,KおよびCl濃度と上水3成分の間には,それぞれあきらかな負の相関が認められた.Na+K+Cl(mEq/l)と脂肪率および(脂肪+蛋白質+乳糖)含量(%)との間に,それぞれあきらかな負の相関(P<.001)が認められ,それぞれの直線回帰が求められた.3) この直線回帰式を用いて試算すると,Na+K+Cl値に,87mg/100mlの差がある2例の正常乳の(脂肪+蛋白質+乳糖)含量の差は,試料100g当たり1730mgとなり,正常乳の電解質濃度の差は,全固形分含量の非常に大きな差と対応していることが認められた.4) この正常乳の電解質成分の差に対応する,脂肪,蛋白質および乳糖それぞれの含量の差は,上の2例の場合には,それぞれの回帰式から,乳試料100g当たり,820mg,460mgおよび450mgとなり,3成分のうちで脂肪の差がもっとも大きいことが知られた.5) 正常乳の電解質成分と,主要な3有機成分の間に見られた関係が成立する機構と,乳成分生成における,牛乳の電解質濃度調節機構の重要性について考察した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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