持続性PGF2α 類似体フェンプロスタレン投与による犬の分娩誘起時に発現する副作用の抑制に及ぼす臭化プリフィニウム前投与の効果
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概要
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長時間持続活性型PGF2α類似体のフェンプロスタレンによる犬の分娩誘起時の副作用を軽減させる目的で,妊娠56〜58日の犬6頭に副交感神経遮断薬である臭化プリフィニウムを7.5 mg前投与後フェンプロスタレンを20μg/kg投与した(前投与I群).他の5頭には臭化プリフィニウム前投与後,フェンプロスタレンを5μgkg投与し(前投与II群),また他の6頭には前投与を行わずフェンプロスタレンを20μg/kg投与した(対照群).副作用のうち水様性下痢および流涎の発現は,対照群でそれぞれ83.3%および100%であったのに対し,臭化プリフィニウムを前投与した2群ではこれらの症状がまったく観察されなかった.他の副作用の出現の有無や持続時間も明らかに臭化プリフィニウム前投与群で軽減され,前投与群でもフェンプロスタレンの少量投与群の方が副作用は軽度であった.また,血漿中コルチゾール濃度の推移では,フェンプロスタレン投与による副作用から来るストレス性の上昇が,臭化プリフィニウム前投与群において軽度であった.さらにフェンプロスタレンによる分娩誘起効果および新生子の生後1週間までの生存率は3群間で明らかな差はみられなかった.このように,臭化プリフィニウムはフェンプロスタレンによる副作用を軽減し,分娩誘起効果および新生子の健康状態に悪影響を与えないことから,本法は比較的安全で確実な分娩誘起法であることが示唆された.
- 日本繁殖生物学会の論文
著者
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森好 政晴
酪農学園大学獣医学部
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中田 健
酪農学園大学獣医学部獣医学科衛生環境教育群ハードヘルス学ユニット
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中尾 敏彦
酪農学園大学獣医学科
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井関 葉月
酪農学園大学獣医学部獣医臨床繁殖学教室
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河田 啓一郎
酪農学園大学獣医学部獣医臨床繁殖学教室
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一條 浩章
酪農学園大学獣医臨床繁殖学教室
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