高泌乳牛における分娩後の栄養水準と卵巣機能の回復状態との関係

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高泌乳牛の分娩後の栄養水準と卵巣機能の回復状態との関係を明らかにする目的で,前回乳期乳量約6,800kg以上(平均8,672kg)の高泌乳牛22頭の分娩から70日までの栄養状態,乳量と体重の変化,および乳汁中progesterone(P4)濃度の推移を調査した.分娩後乳汁中P4値が上昇し,その後周期性の変動を繰返すものを卵巣機能回復例とし,最初のP4値が1ng/ml以上に上昇した日の3〜4日前を初回排卵日とした.可消化養分総量(TDN)充足率は分娩後9週目において,また可消化粗蛋白質(DCP)充足率は分娩後5週目に,それぞれ標準レベルに達した.22頭中20頭において,分娩後70日以内に卵巣機能の回復が認められ,これらの例の分娩から初回排卵までの日数は11〜45日,平均25.5±2.2(平均±標準誤差)であった.さらに,分娩後3週間の平均TDNおよびDCP充足率と初回排卵までの日数との間には負の相関(r=-0.54および-0.64,P<0.02)があり,このDCP,TDN充足率は分娩後3週間の平均乳量との間にも負の相関(r=-0.53および-0.58,P<0.02)があった.また,分娩後6週までの体重の減少量と初回排卵までの日数との間には正の相関(r=0.59,P<0.01)が認められた.しかし,初回排卵までの日数と分娩後3週間の平均乳量との間には有意な相関がみられなかった.以上の結果から,高泌乳牛は泌乳初期において,急激な産乳量の増加に見合うだけの養分量を摂取できず,エネルギーおよび蛋白の不足が生じやすく,これらの不足と体重の減少が大きいものほど,分娩後の卵巣機能の回復が遅延する傾向があることが確認された.

高泌乳牛における分娩後の栄養水準と卵巣機能の回復状態との関係

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