石炭液化反応工程における液化油の気液分配

概要

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石炭液化反応器内の液化油の気液分配は，スラリー実流量を変化させ，スラリー実滞留時間の変化を通して液化反応の進行に大きく影響する．本研究では，石炭処理量1t/dの液化反応試験プラントを用いて，液化反応工程の高温分離器および反応器における液化油の気液分配について検討した．その結果，高温分離器における液化油各留分の気液モル分率比（気相中モル分率／液相中モル分率）は1.0から0.01の範囲であり，低沸点留分ほど大きく，各留分の平均沸点温度とともに減少することが明らかとなった．また，その気液モル分率比の測定値とSRK式を用いた推算値は，気液モル分率比が0.3以上となる低沸点留分についてはやや差が認められるが，中および重質留分については，概ね一致することを示した．さらに，反応器における油分の蒸発は反応温度が高く，ガス／スラリー供給比が大きいほど促進され，全油分に対する蒸発油分の重量割合は0.7以上にも及ぶことを明らかにした．これらの測定と解析の結果から液化反応工程の設計に資する知見を得た．
社団法人　化学工学会の論文
2003-01-20