阿蘇海より採集されたミヤコドリ(軟体動物:腹足目:アマオブネガイ目)殻表面の黒色沈着物の元素組成
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概要
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阿蘇海は宮津湾の西部の湾入部が堆砂によって仕切られた海跡湖である。その阿蘇海内に形成されたカキ礁内部に生息するアマオブネガイ目の巻貝ミヤコドリ(Phenacolepas pulchella)を採集した。海跡湖に生息するカキ礁を生息環境とするミヤコドリの報告は初めてである。採集したミヤコドリの殻表面は黒色沈着物で覆われていた。この黒色沈着物について,電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いて電子像による形態観察,定性分析および定量分析を行ったところ,顕著なマンガン(Mn)のピークが検出され,沈着物の主成分は酸化マンガン(MnOn)であることが示された。これまでミヤコドリの殻表上の付着物は還元鉄が付着して茶色になる(土屋。2000)とされていたが,分析の結果,阿蘇海で採集されたミヤコドリの殻表面には酸化マンガンが濃集していることがわかった。阿蘇海のミヤコドリ生息域における酸化還元条件が,酸化還元に敏感な元素であるマンガン(Mn)の沈着に深く関与している可能性が考えられる。
- 2011-12-00
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