水稲新品種「山形100号」の育成
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概要
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「山形100号」は,山形県立農業試験場庄内支場(現山形県農業総合研究センター水田農業試験場)において,良質の「山形75号」を母に,東北農業研究センターで育成したいもち病に強い「奥羽366号」(後の「ひゅらひかり」)を父に人工交配し選抜育成した水稲品種である.奨励品種決定調査において有望と認められ,2010年に山形県の奨励品種(認定品種)に採用された.熟期は育成地では"中生の晩"に属し,稈長は"中稈",草型は"中間"で,耐倒伏性は「ひとめぼれ」より強い"中"である.いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pia,Pii"と推定された.葉いもち圃場抵抗性は"強",穂いもち圃場抵抗性は"極強"である。障害型耐冷型は"強",穂発芽性は"やや易"である.「はえぬき」に比べ,玄米千粒重は3g程度重く,収量性は高い.玄米品質は乳白粒などの白未熟粒が多く発生しやや劣る.胴割程度は,「ひとめぼれ」並に低く,「雪化粧」より明らかに低い.試験醸造の評価は,雑味がなくすっきりと淡麗な酒質となり,甘口,辛口など様々なタイプの酒に対応でき,掛米用として醸造適性に優れる.山形県における栽培適応地帯は,平坦地域から中山間地域で,普及見込み面積は500haである.
- 山形県農業総合研究センターの論文
- 2011-03-00
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